日本酒の製造方法による呼び方の違い

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今回は、製造方法による日本酒の呼び名の違いについて見ていきます♪

 

今回は一般的な純米や吟醸などではなく、
日本酒のラベルに書かれている、原酒や、無ろ過、荒ばしりなど、
よく書かれてはいるものの、どういった意味なのかわからない方も多いのでは?

今回はそういった特定名称について皆さまにお伝えしていきます。

原酒について

まずは、日本酒おじさんとミチコさんの話題にもなっていた「原酒」から。

原酒とは

原酒とは、もろみから搾った後に加水をせず、
もろみができた時点のアルコール度のまま出荷した酒のことを言います。

「原酒」と「無加水」は同じ意味です。

日本酒は、もろみができた直後には約20度のアルコール度数があります。

アルコール度数が高いほうが腐造のリスクが少ないので、
貯蔵・熟成はこの約20度のアルコール度のまま行われますが、

度数を下げて飲みやすくするために、
出荷前に加水(割り水)してアルコール度数を15~17度に調整します。

原酒は風味が濃醇な味わいとなるため日本酒の味をダイレクトに楽しむことができます。

ただ、加水した酒と比べるとアルコール度数が高いので、
水と交互に飲んだり、氷を浮かべたりして飲むのもオススメです。

おまけ:アルコール度が20度までしか上がらないのはなんで?

ほとんどの日本酒がアルコール度数20度くらいに落ち着くのはなぜでしょうか?

酵母が糖分を食べ、アルコールを生成するのですが、
今度は酵母自体が、自らが造ったアルコールにより死んでしまうのです🙀💦

酵母が糖分を食べアルコールを生成するので、
糖分を食べている途中で絞ると甘口のお酒になりやすく、
(もちろん度数は低くなります)
糖分を食べきったあとに絞ると辛口のお酒になります!

また、このアルコール度数と糖分の関係ですが、
実は、日本酒が世界で一番アルコール度数の高いのお酒だとしっていましたか?

焼酎やブランデーは蒸溜してアルコール度数を高めているため、
蒸溜前のアルコール度数は10度くらいなんです。

無ろ過とは

次は無ろ過について!

無ろ過とは

日本酒は製造工程の中で、酒に混じっている細かな固形物や雑味を取り除くためのろ過作業を行なっているのですが、このようなろ過作業をしないで出荷される酒が「無ろ過」の酒です。

ろ過作業には、おり下げをした生酒の中に活性炭の粉を入れる炭素ろ過や、 カートリッジ式のフィルターを用いてろ過するフィルターろ過などの手法があります。

またろ過の目的のひとつには脱色もあります。

もろみから搾られたばかりの日本酒は美しい黄金色なのですが、
ろ過をすることにより無色透明な液体へと変わるのです。

ではなぜ無ろ過の日本酒が存在するのでしょうか。

ろ過をして、必要以上に酒の成分を除去することは、
本来日本酒が持っている味わいや香り、見た目が損なわれる要因となります。

特に活性炭素を大量に使用すると、成分のほとんどが除去されるだけでなく、
活性炭素自体のにおいが日本酒に移ってしまうこともあるのです。

こうしたことからあえてろ過作業をせずに出荷される日本酒を造る酒蔵もあるのです。

皆さんもぜひ、無ろ過の日本酒本来の味を楽しんで下さい!

ちなみに、ろ過はするけど、活性炭を使わないろ過を素ろ過といいます。

こちらは、ラベルにほとんど表記されていませんが、
黄金色の日本酒を見た際は、素ろ過したんだなと思ってください^^

おまけ:ろ過が流行った理由

炭素ろ過で着色を抜くのは、戦時中や戦後、 原料、製造環境ともに劣悪な状態だった時に全国で使われるようになった製造方法です。

なので、この時に日本酒は本来の黄金色から、炭素ろ過した透明色が一般的になり、 更には黄金色の日本酒をみると、腐っているんではないか? とまで言われるようになってしまいました。

確かに、常温で日に当たるところに放置すると、 低温で暗所に保管したお酒よりもはるかに早いスピードで黄色くなります。

日本酒の色素の素は主にアミノ酸の色で、それ自体は問題ないのですが、 火落菌など、日本酒の味を損ねる菌が繁殖します。

味を損ねる原因は色ではなく、保存環境だということを今回は覚えていただければと思います。

火入れとは

生酒について説明をする前に、火入れという、ほとんどの日本酒で行われている殺菌処理について説明しなければなりません。

日本酒は通常、水と麹と蒸米で仕込まれたもろみを上槽(じょうそう:もろみを搾ること)した後、大きなタンクに貯蔵されます。

そして、びん詰めをして製品にするという過程を経ます。

上槽(しぼり)→①→貯蔵→②→びん詰め

そして、この製造過程のうち、①と②のときに行われるのが”火入れ”と呼ばれる工程です。

「火入れ」とは醸造されたお酒を62℃〜68℃程度で加熱することで殺菌処理を施す工程のことで、 前述の製造過程のうち「火入れ①」では、製造直後の酒の中の雑菌や酵素の影響を無く目的で行い、 また「火入れ②」では貯蔵の間や、びん詰めラインで混入した雑菌を殺す目的で、「火入れ」が行われます。

一般のお酒は湯の中に通したパイプにお酒を循環させることで火入れを行いますが、 吟醸酒のようなお酒の場合はびん詰めの後にびん一本一本をお燗するように「瓶火入れ」という方法を取ることも多いようです。

生酒(なまざけ)とは

これまで説明してきた「火入れ」の工程を一切行わないお酒のことを「生酒」といいます。

生酒は常に低温で管理をしなければ品質がすぐに劣化してしまうため、
一昔前までは生酒が市場に流通することは稀でした。

しかし、低温での保存管理、流通技術が飛躍的に発展した現在では、市場にも多く出回るようになり、
誰でも気軽に手に入れられるほど身近になりました。

生酒は、生酒特有のフレッシュでフルーティな味わいを楽しむことができますが、
殺菌処理をしていないために、劣化が早くなりますので、冷蔵庫で保存の上、開栓後は早めに飲んでいただくことをおすすめします。

生貯蔵酒、生詰酒について

続いて、生貯蔵酒・生詰めについて説明します。

先ほど、普通日本酒は火入れを二回すると言いましたが、
生貯蔵酒・生詰酒はこの火入れを一回とし、
二回中どこで火を入れるかで商品名が決まります。

生のフレッシュ感を残しつつ、防腐対策も行なっている「半生」が生貯蔵酒・生詰酒というものになります。 (そのため、火入れをしていない生酒を「生々(なまなま)」、「本生(ほんなま)」と呼ぶこともあります。)

上槽(しぼり)→①→貯蔵→②→びん詰め

このうち、
「生詰酒」は①のしぼり→貯蔵の際の一回のみ、
「生貯蔵酒」は②は貯蔵→びん詰め時に1回火入れを行います。

この生貯蔵酒・生詰酒は火入れが少ない分、若々しい味が残っていますが、
生酒とはまた違う味わいです。

また、生貯蔵酒も生詰酒は貯蔵前に一度火入れが済んでいるため、
酒質が格段に安定しており、10℃前後の冬場なら冷蔵庫に入れることも無いと言われています。

しかし、それでも一般的なお酒(二度の火入れを行った日本酒)に比べ、
美味しく飲める期間は短いので、開栓後できるだけ早めに飲んでください。

おまけ:日本酒初心者には生酒がおすすめ!

僕は日本酒を飲んだことがない人、嫌いな人に、まず生酒を飲んでいただいています。

実数値を出したわけではありませんが、 日本人の大多数の人が生酒を飲んだことはないのではないでしょうか?

日本酒が嫌いな人に理由をきくと、 多くの人が辛い、飲みづらい等を理由にあげます。 生酒のフレッシュでフルーティーな味わいは、まさにこれらの理由と対極に位置し、 ほとんどの人から、「これ日本酒なの??」「美味しい!!」といった感想を頂けます。

是非周りの人に日本酒を薦める時は、 生酒をぜひお試しください^^

ただ、それでも「うーん日本酒はやっぱりダメかも…」 という方はいらっしゃいますので、その時はスパークリング系の日本酒を飲んでいただいています。 日本酒をもっと多くの人に好きになって貰えるよう、これからも仕事に励みます!!

雫酒(しずくざけ)、雫取り(しずくどり)、袋しぼりについて

それではまず、高級な日本酒等でよく目にする機会のある雫酒についてです。

日本酒の原型を醪(もろみ)と良い、醪を絞ることによって日本酒が出来上がります。

搾り方にも様々な方法があるのですが、その中でも特に手間のかかるものが、
「袋吊り(袋搾り)」という搾り方です。

袋に醪を入れをそれを吊るしあげる方法なのですが、
そこからさらに、重力で自然に落ちてくる雫を集めるところから、 「雫酒(しずくざけ)」といいます。

非常に華やかな芳香の高いものが多く、
金賞・銀賞などのランク付けがされる全国新酒鑑評会に出品される多くはこのタイプが多いです。

香りの華やかさを追求した吟醸タイプの「極み」ともいえます。

またこれら雫酒は斗瓶と言われる18ℓの特殊な瓶に直接詰められます。

斗瓶に直接入れることからこの方法を「斗瓶取り」といい、 さらに斗瓶のまま熟成させることを斗瓶囲いといいます。

おまけ:「斗瓶取り」が美味しい理由

これらの方法を行うとなぜ美味しい日本酒が出来上がるのでしょうか??

ポイントはこれらの方法が
「極力人の手、その他の力を加えていない」ところにあります。

通常、絞るためには、他の道具を使いお酒を搾り取りますし、
瓶に入れるまで、ろ過や火入れといった加工を行うので、
絞ってそのまま瓶に入ることは行いません。

しかも瓶に入れて保存すると、スペースをとるので、
熟成させる時は、タンクのまま熟成させることがほとんどです。

これらの方法を取ることにより、雑味のない日本酒本来の自然な甘みを得ることができるのです。

荒ばしり、中取り、責めについて

先ほど袋吊りについて説明しましたが、
この袋吊り等で醪から日本酒を搾る時のタイミングによって、
日本酒の味が変わり、呼び名も変わります。

まず、醪を絞り始め最初に出てくる部分を「荒ばしり」といい、
特に搾る布が細かな醪で目詰りしないため、濁りが多くやや白濁しています。

落ち着かせるとビン底に白い粉が貯まりますが特にこれを「おり」と言い
「荒ばしり」だけでなく「おり酒」や「おり絡み」という名前でも販売されます。

香りも高く、しぼりたてのフレッシュ感が味わえますが、
この後説明する「中取り」よりもワイルドな味わいが特徴です。

次に、布が目詰まりすると、今度は濁りのない酒がでてきます。

これを「中取り」(中垂れ、中汲み)といい、味・香りともに日本酒本来の姿を楽しめる状態です。

一番美味しいとされる部分で、鑑評会には、この中取りが使われることが殆どになります。

最後に、酒が出なくなるので圧力をかけ搾ります。

この際に出てくるお酒を”責め”と呼び、色・味ともに濃く、
濃厚な舌触りのお酒となります。

このように、同じ種類・同じ製法の日本酒でも搾り方一つで味も変わってきます。

通常のお酒は、この三つがブレンドされたものですが、
同銘柄にて三種類の呑み比べなどもでているのでサケタクでも皆様に提案していきたいと思います。

どうぞお楽しみに。

まとめ

さて、まとめてみます。

  • 絞ったお酒に加水していないお酒を原酒という
  • 原酒は20度くらいになる、通常の市販のお酒はそこに加水し、15~17度に調整する。
  • 加水の目的は飲みやすくするため
  • 無ろ過とは、絞り上がったお酒からろ過しないお酒のこと
  • 絞り上がった日本酒は、皆、黄金色
  • 炭をいれる炭素ろ過を行うことで、雑味をとるともに、日本酒を透明にする効果がある。
  • 火入れは貯蔵時と瓶詰め後の二回!
  • 火入れを一回も行なっていないのが生酒
  • 生酒は要冷蔵
  • 絞り始めに出る部分を「荒ばしり」。フレッシュさが特徴
  • 布がつまり濁りのない部分を「中取り」。一番美味しい部分とされる。
  • 最後に圧力を加えて搾る部分を「責め」。濃醇な味わいが特徴
  • 生詰酒はしぼり→貯蔵の際に一回
  • 生貯蔵酒は貯蔵→瓶詰め時に一回
  • 醪を袋に入れ絞ることを「袋吊り」
  • 袋から絞られる雫を集めたものが「雫酒」
  • その雫を斗瓶で集めること「斗瓶取り」
  • 金賞受賞酒の多くがこの方法で作られている

このページに書かれたことを頭に入れれば、どんなラベルでも読めるようになれます♪ ぜひ疑問に思ったらまた立ち戻ってみて下さいね。

次回は、特殊な製造方法である「山廃仕込み」「生酛(きもと)」についてお伝えします。

どうぞお楽しみに〜。

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