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2021年8月27日更新!
- 辛口のお酒が求められる理由
- 読み進めてもらう前に押さえておきたいポイント
- 日本酒って全部甘いですよ。
- ブドウ糖以外で甘味を感じる物質
- 私たちは何の判断を元に「辛口」という表現を使っているのか
- 脱、辛口ください!
- まとめ
- 「楽しい日本酒講座・全12回」の目次
- あなたの常識をぶった切る、日本酒の本当のはなし。
- 「美味しい」と感じる、日本酒の味を分解してみよう。
- ようこそ、日本酒のディープな世界へ!初心者卒業までの最後の一歩。
私たち「saketaku」は日本酒の持つ魅力を一人でも多くの方にお伝えすべく、日々「飲み手」のことを考えて日々活動しています。
そんな日本酒フリークな私たちですが、先日より日本酒の定期便サービス「saketaku」の運営がスタートしました。なぜ発足に至ったかなどは、こちらでフォローしていただくとして、今回は「日本酒を好きだけどあまり詳しく知らない初心者の方」から、「もっぱら飲む専門の日本酒飲ん兵衛の方」までを対象に、日本酒の魅力をもっと深めていただきたくて、基礎が学べるコンテンツを全12回にわたってご用意しました。その名も「たのしい日本酒講座」です。
それではさっそく第2回もはじめたいと思います!
「辛口のお酒ください!」
居酒屋でよく聞くフレーズですが、
今回は、よく話題にされる「辛口のお酒ください」という言葉の罠について、詳しくご説明したいと思います。
辛口のお酒が求められる理由
さて、なぜ人は「辛口のお酒ください」と言ってしまうのでしょう?
色んな理由が考えられますが、私たちは「戦後の日本」に大きなキッカケがあったのではないかと感じています。
大吟醸や純米酒など、今では当たり前のように見る日本酒ですが、明治から大正時代の頃までは、日本酒業界の知識や技術ともに乏しい状態でした。特に、精米技術(玄米の外側を削る技法)や微生物に対する理解がまだまだ及んでいませんでした。
そのため、玄米の外側を削った後の残りの比率である「精米歩合」はせいぜい90%ぐらいであったと言われており、10%程度しか削れていなかったと聞きます。現在では玄米を30%(精米歩合70%)程度削って醸される純米酒でも「磨かなすぎ」と言われることもあります。理由は、醸造に使うお米には栄養分が詰まっていて、お米の外側になるほど必須とは言えないのです。これを10%の削りでお酒を醸した場合、複雑味が増して好みが分かれるお酒に仕上がります。よって辛口のお酒が多く生まれ、消費されることになりました。辛口、特に灘の酒が一世を風靡していたわけです。
しかしそんな辛口の時代が大きく変わります。
大正末期の頃、飲酒人口増加の影響から、かなり甘口の日本酒が好んで消費されるようになったといいます。辛口の降板、甘口ブームの到来です。
そして第二次世界大戦後、国内の人口が増加したことが原因で米不足が大きな社会問題となります。そこで少ない米から大量の日本酒を生み出す技術が開発されました。それが三増酒と呼ばれるお酒で、日本酒に水と醸造アルコール(焼酎のようなもの)を大量に添加して、薄まった味を糖類や酸味料などで調整しました。従来の日本酒製法の3倍のお酒が作れたのでこの名がついたといいます。このお酒を飲むと2日酔いがひどく翌日は頭がガンガンすると言われたそうです。
その後、経済が復興するとともに、より高品質な日本酒を造ろうという蔵の思いも高まり、「辛口」が再び増えていきます。当時造られた辛口酒はとても評判が良く、ここでイメージが確立されます。
三増酒などから純米酒と呼ばれる時代になり、より高品質な日本酒が増えても皆声を揃えて「辛口」。しかし、当時とは比べ物にならないぐらい技術的な進歩を遂げている日本酒業界。「辛口だけ」を飲み続けるには、もったいない時代です。当時は難しかった、低精白でも雑味の少ない美味しい日本酒を造る、技術力の高い蔵もたくさん増えてきています。ぜひ広い目で「辛口以外」の日本酒も、手にとっていただければと思います。
読み進めてもらう前に押さえておきたいポイント
- 一般的に表記されている「日本酒度」を参考に甘辛を判断してはいけません。
- 甘辛を決める要因は酸度・アミノ酸度・アルコール濃度など豊富に存在します。
日本酒って全部甘いですよ。
今回は甘い・辛いに関する話ではありますが「日本酒は全て甘い」ということをおさえておく必要があります。
何を言っているんですか???
そう思う方も多いと思います。
その秘密をお話していきましょう。
日本酒が全て甘いのは原料に関係しています。前回も書かせてもらいましたが、日本酒は米・米こうじ・水からできていますよね。 米こうじがお米を分解したら酵母が発酵をすることで日本酒が出来上がっていきます。
では何の物質が影響して甘いと感じているのでしょうか。
ブドウ糖以外で甘味を感じる物質
代表的な物質を3つ挙げました!これらは日本酒と呼ぶにしても、味わいが形成されていく中でとても大切な物質です。早速みていきましょう。
①アルコール
薬局で売っている「無水エタノール」に4倍の水を混ぜると20%のアルコール濃度となります。出来上がったアルコール水を飲むと甘味と苦味を感じます。この特性からアルコール濃度が高いほど甘味をはっきりと感じやすくなっています。 *ご自身で無水アルコールを薄めて飲まれる際は自己責任でお願い致します。
②アミノ酸
アミノ酸=うま味成分・美容効果という認識の方も多いと思います。日本酒に含まれるアミノ酸は主に「甘味・苦味・うま味」の3つです!アミノ酸度が高いほど味が濃醇になり余韻が長くなります。
③オリゴ糖
ブドウ糖に比較的近い存在としてオリゴ糖含んでいます。麹が分解できなかったものがそれにあたり、やさしくまろやかな甘味がすると言われています。
一般的に言われているものでもこれだけあります。甘辛の指標として今日まで使われている日本酒度は、主にお酒の重さを測定しているものなので、直接甘味に関与しているとは言い切れません。
では、私たちが辛いと言う物質の正体は何なのでしょうか?
私たちは何の判断を元に「辛口」という表現を使っているのか
ここまで、日本酒は全て甘いと紹介しました。しかし本記事を読んだ方が日本酒を飲むと「辛いね〜」と言う方もいると思います。何を持って辛いと言っているのかというと「刺激感と爽快感」です。爽快感のことを「キレ」ということもあると思います。 では、どの物質が辛口という判断に貢献しているのでしょうか?
①アルコール
さきほどの甘味の1つ目で取り上げました。確かにアルコールははっきりとした甘味を持っています。しかし同時に苦味や刺激を持ち、アルコール濃度が高くなるほど舌がピリピリと感じられるのです。水の次に多く含まれる物質なので、割合がとても大切です。
②酸
酸といえばワインに多く含まれていますが、日本酒にも一定の酸を感じることができます。酸味を感じるのは「コハク酸・リンゴ酸・乳酸」が酵母が作っているからですね。酸度が高ければ口に含むと酸っぱさを感じスッキリとした爽快感を感じますよ。
③アミノ酸
アミノ酸も甘味を感じる物質として取り上げました。アミノ酸は甘味以外にもうま味・苦味を含んでいるため刺激や爽快感を感じます。甘味も増えるのですがキレも増すため、味わいの「ボリュームが増す」というニュアンスです。
物質ごとで特徴は異なりますが、甘味が感じやすくなる分、キレを強く感じるものがあったりと様々ですね。どちらにしても「キレ」という表現でまとめることが良いと考えています。
脱、辛口ください!
ここまで読み進めてくださった皆さんありがとうございます。
皆さんにはせっかく飲む日本酒を心から美味しい!と思ってもらえるような必勝法をお伝えします。
①前に飲んで日本酒で美味しかった銘柄を伝える
日本酒が詳しい相手であれば、これが一番確実です!ただし、1つの蔵のお酒と言っても銘柄によって大きく味わいが異なりますので写真を撮っておいてください(裏ラベルまであれば最高です!)日本酒に詳しい人ほど、正確性が上がりますので店員さんの知識量や知っている銘柄数を把握するのにも良い手法です。
②〇〇な日本酒をください!
「辛口」といっても一辺倒なので日本酒の味わいを言語化しておく必要があります。そのため以下の表現の中から選んでみると良いと思います。
-————————————————————–
フルーティー・さわやか・ずっしり・なめらか・まろやか・軽い・重い・熟成系
+
キレが強い・キレが優しい
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
どの日本酒でも甘味を持っているのは間違いありませんが量や成分によって印象は大きく変わります。
簡単にまとめると、
- 日本酒は全て甘いお酒です。
- 酸度やアミノ酸度、アルコール濃度で感じる「キレ」を総合的に判断し「辛口・甘口」と判断しています。
- 表現する語彙を増やすだけで好みが伝わりやすくなります。実は好きなお酒が「辛口」ではなく甘口なのかもしれません。
次回は大吟醸であれば美味しいという方も多いと思いますので、大吟醸が本当に美味しいのか、大吟醸以外は美味しくないのかということに関してご紹介していきます!
「楽しい日本酒講座・全12回」の目次
あなたの常識をぶった切る、日本酒の本当のはなし。
- 日本酒の原料について徹底解説
- 脱「新潟の美味しい辛口のお酒ください」のススメ(←イマココ)
- 「日本酒なら大吟醸!おいしいよね。」そんなあなた、損してます。
- 安くて美味しい本醸造、教えます。
「美味しい」と感じる、日本酒の味を分解してみよう。
- フルーティな日本酒を徹底解説
- 軽快な日本酒を徹底解説
- 米の旨味がはっきりしている日本酒を徹底解説
- 濃厚で熟成した日本酒の徹底解説
ようこそ、日本酒のディープな世界へ!初心者卒業までの最後の一歩。
- 日本酒のマリアージュの世界へようこそ!
- 「山田錦」の味わいや特徴について徹底解説!
- 新潟「淡麗辛口」の日本酒とは。知ると日本酒がたのしくなる!
- 日本酒歴長い人も実は分かってない。酵母や麹の本当のはなし。