みなさん、こんにちは!
今回は普段語られることの少ない「本醸造酒の魅力」に迫っていきたいと思います。
「純米酒しか飲みません!」
そんな声をよく聞きませんか?
確かに純米酒は醸造アルコールが入っていないので「美味しい」イメージを持っていることは分かります。 また醸造アルコールを入れると味わいが薄くなりやすいです。 純米酒の「濃醇さ」に価値を感じている方がいることももちろん知っています。
「純米酒でないと二日酔いする」
という声もたくさん聞きます。本当に二日酔いするのでしょうか。
若い頃に経験した良くないイメージが先行していませんか?
蔵の杜氏さんに一番好きなお酒を聞くと、多くの方は「本醸造酒・普通酒」と言います。
今回は醸造アルコール添加酒の美味しさを紐解いていきたいと思います。
- 「醸造アルコール」ってなんだっけ?
- 醸造アルコール添加酒のメリット
- 味わいがすっきりする
- 醸造アルコール添加の目的が今と昔では変わった
- 本当に美味しい本醸造酒の特徴
- saketakuでお届けしたことのある本醸造酒
- まとめ
- 「楽しい日本酒講座・全12回」の目次
- あなたの常識をぶった切る、日本酒の本当のはなし。
- 「美味しい」と感じる、日本酒の味を分解してみよう。
- ようこそ、日本酒のディープな世界へ!初心者卒業までの最後の一歩。
「醸造アルコール」ってなんだっけ?
日本酒の原料に「醸造アルコール」と記載がなければ純米酒と呼べます。
醸造アルコールを使用したお酒は「アル添酒」と呼ばれたりします。
なぜ「アル添酒」は敬遠されてしまうのでしょうか。
それは皆さんのイメージの中で、
「醸造アルコール=人工物」
などの印象を持っているからではありませんか?
人工物=体に悪い=2日酔いする、という解釈になるかもしれません。
しかし添加しているのはしっかりとした意味があるからなのです。
それをお伝えする前に「醸造アルコール」について分解していきましょう。
醸造アルコールとは(清酒製造技術より引用)
醸造アルコールとは、デンプン質物や含糖質物を原料として発酵させて蒸留したアルコールをいう。
吟醸酒や本醸造酒に使用できる醸造アルコールの重量は、白米の重量の10%以下に制限されている。
ここで、日本酒製造とは縁のない「蒸留」という言葉がでてきました。
実は、蒸留のプロセスを知ることがアル添酒のイメージ改善に繋がると考えているため紹介させてください。
蒸留は醪を100度以上の蒸気に当てることでアルコールや水などを蒸発させ、蒸発した気体を再び冷却することでアルコールを得ています。
ただし全ての物質が蒸発するわけではありません。蒸発しない成分は糖類・アミノ酸・色素などです。そのため、蒸留した液体には
・ 20〜25%のアルコール
・ 5%の香り成分
・ 残りの水
しか残っていないのです。
つまり、醸造アルコールを加えているお酒は、「少しのアルコールと水を加えている」という考え方であるべきだと考えています。
ここからは醸造アルコールを加えたときのメリットをお話していきましょう!
醸造アルコール添加酒のメリット
醸造アルコールを入れるとフルーティになる??
醸造アルコールは元々フルーティーな香りを有しているわけではありません。原液は消毒液のような香りで鼻の奥でツン!という香りがします。
なぜフルーティーな香りがするのかというと、醪で生成されるフルーティーな香りがアルコールに溶けて吸着するためです。
大吟醸などの高級酒には、味が薄まらない程度の微量なアルコールを添加しているため香りが残りやすくなっています。
味わいがすっきりする
醸造アルコールに糖分は含まれていません。 アルコール以外の物質はほとんど水なので、アル添を行うと以下のような味わいになりやすくなります。
・味わい全体が薄くなる
・甘味が減る
・酸味が増す
つまり口に含んだ瞬間のボリューム感が少なくなり、キレが増していく印象です。
料理に合わせやすい
本醸造酒は地元の方もよく飲む一本。
地元の方が飲むのは地元の食事と合うよう蔵が醸造していることが多く、
何と言っても安く買える
特に本醸造酒は価格がお手頃です。理由は酒造業は昔から米農家や酒屋・飲食店などの地元の方に愛されていて、地元の方に飲んでほしいと考えているので日頃の感謝の意味も詰まっています。
ただ、近年は「吟醸」と名が付くお酒への関心度が高く、地元でお酒を飲む人が少なくなってきた傾向もあるため、蔵は製造量を減らしています。
醸造アルコール添加の目的が今と昔では変わった
酒税法では、大吟醸酒や吟醸酒・本醸造酒の醸造アルコールを添加して良い量は、米と米こうじを足した量の10%までと決まっています。
しかし大吟醸酒等の高級なお酒に対し、 規定量のまま10%ものアルコールを添加しているお酒はほとんどありません。
むしろ規定量の半分の5%程度と言えます。
これだけしか添加しないのは味わいのバランスを保つことができなくなるためです。
かつて特級酒や二級酒などと呼ばれた時代では、多くのアルコール添加がなされていました。
目的は大量生産。しかし現在の鑑評会用の出品酒は醸造アルコールを1%程度しか添加しない蔵もあります。
果たしてこのようなお酒でも翌日2日酔いになるのでしょうか?
アルコール添加の目的や現在の日本酒の質を考えても二日酔いにはなりづらいと考えています。
2日酔いになる要因は、「水をしっかりと飲んでいるか」。
ここに尽きます。
本題から逸れますので深堀りしませんが、 水を大量に飲めば2日酔いにはなりません。
本当に美味しい本醸造酒の特徴
必ず美味しい!
という基準をあげるのは皆さんとの好みも異なりますし、お酒の味も千差万別なので難しいですが、最後に美味しいと感じやすい本醸造酒の特徴を教えちゃいます。
当てはまるほど美味しくなる可能性が高くなるので要チェックです!
- 精米歩合が60%程度
- ラベルに「中取り」「直汲み」などの表記がある
- アルコール度は15%〜17%までの間
- デザインがやや新しい
などでしょう。
こういったお酒は1本で1000円程度で買えるものばかりです。
安くて経済的に飲めることほど嬉しいことはないですよね? 発見したら買ってみる価値ありです!
saketakuでお届けしたことのある本醸造酒
・ 宝山 本醸造酒
・ 女鳥羽の泉 本醸造酒
まとめ
今回まで複数回にわたり純米酒やアルコール添加酒をお勧めさせていただきましたが、 マイナスのイメージを持ちやすいお酒の良さはなんとなくご理解頂けましたか?
次回からは、
お酒の味わいやみなさんが日々疑問に感じているであろう項目についてわかりやすくお届けしていきますね。
最後にアル添酒について簡単にまとめました!
・ 醸造アルコールは二日酔いの元凶ではない。お水を沢山飲んでください!
・ アルコール添加酒は、「香りを吸着してお酒に残す」「キレが増す」
・ アル添酒でも、ごく少量の醸造アルコールしか使っていない
・ 美味しい本醸造酒はたくさん存在する
次回は、日本酒があまり好きではない人にもオススメの 「フルーティー」な日本酒について。
「楽しい日本酒講座・全12回」の目次
あなたの常識をぶった切る、日本酒の本当のはなし。
- 日本酒の原料について徹底解説
- 脱「新潟の美味しい辛口のお酒ください」のススメ
- 「日本酒なら大吟醸!おいしいよね。」そんなあなた、損してます。
- 安くて美味しい本醸造、教えます。(←イマココ)
「美味しい」と感じる、日本酒の味を分解してみよう。
- フルーティな日本酒を徹底解説
- 軽快な日本酒を徹底解説
- 米の旨味がはっきりしている日本酒を徹底解説
- 濃厚で熟成した日本酒の徹底解説
ようこそ、日本酒のディープな世界へ!初心者卒業までの最後の一歩。
- 日本酒のマリアージュの世界へようこそ!
- 「山田錦」の味わいや特徴について徹底解説!
- 新潟「淡麗辛口」の日本酒とは。知ると日本酒がたのしくなる!
- 日本酒歴長い人も実は分かってない。酵母や麹の本当のはなし。