旭鶴 大吟醸の香りや味わいを解説

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総評

まさに大吟醸らしいほっそりとしたボディと華やかで果実感のある香り、優しい甘味、滑らかでさらりとした印象と、よく出来た大吟醸酒と思います。ワイングラスで料理をあまり選ばずに合わせることができ、前菜全般に幅広い相性も見せてくれます。ただ、しっかりと相性を見せるにはクセのない食材を当てましょう。春を待つ軽やかな気分にさせてくれます。

特徴的な香り

大吟醸酒らしく、果実の印象をしっかりと感じます。特に黄色いリンゴやバナナ、青竹あたりを強く感じます。また、ミネラルの印象も余韻に割合しっかりと見て取れるイメージです。果実の香りはM310酵母によるもので、カプロン酸エチルという物質を高い濃度で生産します。

味わい

甘味ははんなりと優しい印象です。滑らかな印象ですが滑りが良く、さらりとした印象も見せます。 原料米のポテンシャルの高さや香りのよく出る酵母の印象も手伝って、比較的長い余韻を楽しむことができます。キレ終わりの瞬間が一瞬タイトですが、後は緩やかで穏やかな印象です。

ペアリング

加工して癖を取り除いたエビやトマトによく合うでしょう。例としてはエビしんじょ。バーニャカウダも試して見たいお料理です。

飲み頃の温度帯

12〜15度あたり、あまり上がりすぎない方がバランスのとれた香りのレベルと保つと思われます。良い意味でコンパクトでバランス感があります。

「きょうかい10号酵母」とは

1977年から日本醸造協会より頒布されているきょうかい10号酵母。別名、明利小川酵母とも呼ばれます。茨城県は明利酒類株式会社の小川知可良博士が開発したためです。博士は仙台国税局鑑定官室長も務め、多くの蔵へ足を運び未来の杜氏に酒造技術の指導をしました。そのきょうかい10号酵母を突然変異させたものがM310酵母。1995年より全国の酒蔵で販売が開始されています。酵母の性質は、華やかな香りを多く生成すること。カプロン酸エチル高生産酵母の1種です。きょうかい1801酵母も挙げられますがM310酵母の方が若干香りの出方が弱く、きょうかい1801酵母の方が味わいが軽快で綺麗に出やすいと言われています。また粕歩合62.7%も驚きの数字。粕歩合とはお酒を搾る際に醪を清酒(液体)と酒粕(個体)に分ける操作のことを指しますが、大吟醸クラスでも粕歩合50%ほどと言われるため、とても高い粕歩合と言えます(出来たお酒の量がとても少ないです)。お酒も酒粕も贅沢で美味しそうですね〜。

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