宮城 鳴瀬川純米酒の味わいや香りを解説

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総評

冷酒〜常温帯などの様々なシーンで対応することができる汎用性と、それを支える酸度、アミノ酸度のバランス感に優れたお酒。温度を上げても崩れないので、色々な飲み方で楽しめます。

味わい

口に含んだとき

前半部分はアタックに甘味、うま味をほどよく感じ、滑らかさも相まってアルコールが15度台としては厚みを感じます。酸度も1.6なので、軽めの印象も持ち合わせていますね。

余韻

15度台のアルコールと1.2のアミノ酸度ゆえ、酸味は浮き立つ印象で感じられるものの余韻で渋味、刺激を感じることがありません。余韻の風味で米味はあるものの長くはならず、どちらかといえば短めでスッと抜ける印象を見せます。

温度帯

常温帯はわずかに甘味によってふくよかな印象が見えるものの、冷えていてもお燗でもそれぞれに飲み口が存在します。お燗の場合は飲み口の薄いものでよりキレを見せるのもありでしょう。

ペアリング

この酒の最大のポテンシャルは45〜50度あたりに存在すると思います。ゆっくりと3〜5分ほどかけて50度まで持ちあげて秋の秋刀魚を刺身で合わせるとピタリと決まります。秋刀魚の脂をアルコールが切りながら生姜醤油を付けた刺身ににお酒がピタリとマッチ。至福の秋の夜長となるでしょう。

特別コラム

きょうかい9号。昭和28年ごろ、代表銘柄 香露の製造元である(株)熊本県酒造研究所の保存酵母から分離されました。現在は日本醸造協会が頒布するきょうかい9号と、(株)熊本県酒造研究所が頒布する熊本酵母に分かれています。本酵母は吟醸酒の発展に大きな役割を果たした酵母です。造り手の技術力の現状と動向を明らかにするために毎年開催されている「全国新酒鑑評会」の出品酒に1990年代半ばまで最も使われていました。精米歩合35%の山田錦を用い、熊本酵母で仕込めば、全国新酒鑑評会で金賞を受賞できるという風潮があったほどです。そのスペックは「YK-35」と呼ばれました。味わいの特徴は、吟醸香の中でも酢酸イソアミルよりカプロン酸エチルを多く生産しやすいと言われています。一時代を築いた酵母は、造り手からも根強い人気を持つ酵母です。時代の流れと共に酵母の選択を変えることができるのは、杜氏をはじめとする技術者がいるからです。

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