栃木 西堀酒造 西堀 純米 無濾過の味わいや香りを解説

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総評-はっきりした甘味とキレの強さが楽しい、温度を変えても楽しめるお酒

抜栓したてのキリッとした印象で、揚げ物、魚卵で楽しむもよし、あけて少し放置ののち、燗冷ましをゆっくりたのしむもよし、の二つの顔を持つお酒の印象を得ました。出来たら、是非一手間をかけてこの二つの顔を味わってみてほしいなと思います。

香り

抜栓したてはかなり青さというか高級アルコールの印象を思わせる香りが優位に感じられ、そこ由来の栗、落花生などのナッツ様の香りが優勢でした。また、つきたてのお餅の様な米感のふんだんな香りも取れました。改めてきいてみると、その奥に隠れたグレープフルーツ、又は煎茶の葉の香りもふわりと感じられた様でした。

味わい

口にふくんだとき-インパクトある甘味と酸味のバランス

あまり滑らか、と言えるほどではないものの、中程度以上の甘味の存在を感じます。これは若干のアルコールからくる甘味でもあり、後半に引く甘味とは言いづらいものでした。酸味は割合にしっかりで、数値と同等かそれ以上の印象でした。若干の収れん味も手伝っている印象もあります。

余韻-ボディを感じながらキレが強い!

キレはしっかりと存在し、一瞬喉に熱さを覚えます。精米歩合的にも苦味を見せますが、ボディ感を増してくれる印象でもあり、好ましい苦味に感じます。アルコールの強さや後半の苦味が立つ分、余韻としてはあまり長さを感じない印象です。ただ、そこはかとなく残る米味とアルコールの余韻は存在しており、これは幾分長めに残っています。

温度帯

基本的には8〜12度あたりの冷蔵庫から出して少しの状態も美味しく感じられますが、一旦開けてからは暗所に保存し、4、5日経ってからの燗もまた楽しめる印象です。この場合は思い切って55度かそれ以上まで持ち上げ、手間ではありますがそれを40〜45度の燗冷ましにしても楽しめます。

ペアリング

冷たい状態で飲むのであれば、脂に独特の香りと旨味を見せるホッケ塩焼などはいかがでしょうか。又、磯の香りのする貝、又はタラコやキャビアなどの魚卵なども相性を見せると思います。御燗であれば、燗冷ましにして素材感のある練り物、魚ならばさつま揚げ、肉ならば焼売なんかが楽しそうです。季節ものとして、蛍烏賊を炙ったり、また少しごまを振った菜の花の酢味噌和えの苦味に合わせても楽しめるでしょう。意外に懐の深さを感じます。

特別コラム-とちぎ酒14号について

栃木県が作付けしている品種のうち、平成28年産で最も多いのが山田錦。五百万石・ひとごこちと続き4番目に「とちぎ酒14号」は位置します。とちぎ酒14号は平成17年に奨励品種に登録され、栃木県で初の酒造好適米です。実際の醸造現場に関わる部分としては、玄米が大きいのに対して倒れる可能性が低いため収穫量が多いです。他の酒米に比べると心白が小さいため吸水速度が遅く、目標とする吸水率に持っていきやすいでしょう。味わいの傾向は淡麗で綺麗になりやすいと言われています。栽培性に優れ収穫量も多い目標を掲げていたため、栃木県農業試験場の努力が叶った品種です。

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