総評-穏やかな甘味を見せる水のようなお酒。ただ、御燗も勧めたい!
穏やかでありながら酸味と甘味をほのかに感じる印象の造りなため、水々しい印象のままスイスイと飲めてしまうお酒です。ただ、温めて40〜45度の附近にもう一度バランスの良い味わいを秘めており、1本で二度楽しめる珍しいお酒です。出来れば、45度にしてから、1、2分待って落ち着かせて呑みたいところです。。いいですよ!
味わい
口にふくんだとき-爽やかさを備えたみずみずしい甘み
アタックで見える優しさのある甘味と共に爽やかさが顔を出します。アルコール度数が低めでアルコールを添加した本醸造の割に、無濾過であることも起因し、しっかりとした前半の構成を見せます。酸も出だしから幾分見えている印象です。
余韻-最初と最後の印象を添わせる妙味
中盤以降、幾分主張ある酸味と共に柔らかい苦味も見えてきます。これは精米歩合から由来する因子ですが、かえって14度の本醸造酒に個性を与えています。一瞬の苦味の後は余韻に引く爽やかな甘味。入り口と出口がまとまりを見せます。
温度帯
余韻の苦味も個性の1つと捉え、旨味のバランスを考慮し、10〜15度あたり、甘味と旨味苦味も考慮に入れて夏を楽しめたら素敵です!
ペアリング
優しいながらも爽やかな甘味を感じるお酒のため、青さを中心に、あまり重たくならないようなお食事を選んでいきたいですね。きゅうりに旨味や甘味、油の滑らかさを加えたものは好印象です。もろきゅう、ごま油と塩昆布和えなどは好相性でしょう。また肉であれば青魚か冷ました鶏肉。ネギなどの青さや薬味を意識したソースを使いたいです。
特別コラム
風さやか。2013年に品種登録されたばかりの品種で、酒米ではなく一般的に私たちが食べている飯米です。名前の由来は「すがすがしい清らかな空気の元で育てられた」ことをイメージして命名されました。長野ではキヌヒカリが栽培されていますが、温暖化の影響で成熟期が前進し、作付け量が圧倒的に多いコシヒカリの収穫に時間を取られてしまうので、収穫の時期を分散する品種が要望されていました。農家さんは、収穫の時期が被ってしまうと台風の影響を受け、その年の米が全てダメになってしまう可能性があるため早い時期に収穫を行う早生(わせ)と遅い時期に収穫する晩生(おくて)を分散して栽培していることがあります。風さやかは「地元に愛されるお米」として県内での認知度を高めていき生産拡大を図っています。平成28年産の銘柄別検査収量はキヌヒカリの約17倍まで伸びているため、着実にこれからも皆さんの目にかかることが増えるでしょう。