総評-滑らかな甘味に柔らかな酸
柔らかい甘味と、滑らかさにバランスするような柔らかい酸味が下支えすることで、非常に滑らかさのある印象を作り出しています。香りに少々吟醸香も乗っていることで純米酒の枠を超えた印象を見せることに成功しています。
香り
純米酒に分類されますが、少々のリンゴ、バナナの両方の香りが取れます。これは小川酵母由来で、ここに原材料香や乳酸が関わってきています。高級アルコールも感じるものの、甘味のある飴やシロップの香りで若干マスキングした印象です。
味わい
口にふくんだとき-甘味と旨味をまとめる丸みのある酸味
アタックからしっかりとした甘味と滑らかな印象の旨味を感じ、非常に柔らかい口当たりとなります。一拍遅れて見える柔らかい酸味のお陰で甘く重くならず柔らかに整列している印象を見せます。
余韻-べっこう飴の様な甘味
日本酒度がマイナスの為かほとんど収れんする印象は感じず、アミノ酸由来の苦味が余韻に少々顔をのぞかせます。全体の丸いフォルムはあまり崩れることがなく、余韻にも柔らかい甘味が後を引くイメージです。
温度帯
8〜18度で、甘味と酸味のバランスを少しづつ変えて食材とのマッチングを探ることができるお酒です。酸味を目立たせたいなら10度以下の低めの温度でいかがでしょうか。
ペアリング
カマンベールなどのクリーミーなチーズは好印象ですが、食事と一緒にということでしたら、ごまドレッシングをかけた豆腐サラダはいかがでしょうか?吟醸香の風合いも活かすなら、海老マヨなども面白でしょう。同様にウフマヨ(半熟玉子とマヨネーズ)もありです。
特別コラム-熟成の証であるソトロンについて
ソトロンは熟成期間が長くなるほど増加する物質です。増加することで着色度・香ばしい香り・苦味が増加することがわかっています。もちろんお酒によってソトロンの量は異なります。香りにおいては口に含む前から感じれるものと、口に含んで鼻から抜けるときに感じるもの。熟成期間が短ければ飴やシロップ、長くなるほどカラメルのような香りを感じます。また一般的に新酒からは感じることはありません。熟成が進むとアミノ酸度も微量に増加するため、総じて甘味・旨味・苦味の絶対量が増える傾向です。ソトロンは清酒中に含まれる糖分とアミノ酸の量が多いほど着色しやすいため、着色度だけにとらわれず、味わいを予想する1つの指標として用いると良いでしょう。