長野 女鳥羽の泉 純米吟醸の味わいや香りを解説

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総評-スッキリさと華やかさ、水々しさの共演

カプロン酸エチル由来の華やかなリンゴの香りと、あまり高くないALC度数によって、非常に水々しい印象を見せる華やかスッキリタイプ、のお酒に仕上がっています。水のキャラクターを重視したという蔵の意向をしっかりと表現しているお酒に仕上がっています!夏に冷やして!

香り

酵母にK-1801をブレンド使用していることもあり、特徴的なカプロン酸エチル由来のリンゴを思わせる香りが華やかです。また、前駆物質のカプロン酸由来の少々の重厚感を含んだミルク・生クリーム香も認められ、大吟醸の様な印象を見せています。

味わい

口にふくんだとき-華やかな導入と薄く主張する甘味

口に含む前からきらびやかで華やかな印象で、口に含んでもその印象は変わりません。柔らかな甘味は次第に減っていき、その後に弱く主張する酸も相まってここにも爽やかで水々しい印象がみて取れます。リンゴ果汁を感じられるお水のような導入です。

余韻-一瞬見え隠れする酸と苦味のあとは、また華やかな余韻。

余韻においてもお酒の持つ水々しさは変わらず、瞬間的に苦味・渋味は顔を見せるものの、全体としてスムースな印象は崩しません。酸味のみ後半に残る印象があるのは、加水が多めでアルコール度数が低いことも関係しているようです。

温度帯

このお酒は余韻に一瞬苦味、渋味を感じるため思い切って温度を下げ、10度以下の温度帯で細めのワイングラスを利用しましょう。あくまでも「スッキリ華やか」とした印象で夏の涼をとるのが良いと思います。

ペアリング

水々しく、どこまでもスッキリさを失わないお酒なので、どちらかというと単体でも良さを発揮できるお酒です。お食事を合わせるなら、トマトの旨味を活かしたゼリー寄せ、などは如何でしょう?また、淡白ながら膨らみのある旨味を持つタラバの足、蒸したものや茹でたもので合わせても綺麗です。

特別コラム-きょうかい1801号について

お酒造りには「酵母」が欠かせません。「きょうかい1801号(以下K-1801)」は、まろやかな味わいと華やかな香りを生み出しやすく、各蔵で吟醸酒に用いられている酵母です。特筆すべきは、鑑評会などの出品酒としてよく選出されていること。とある年の鑑評会出品数174点のうち、K-1801を使用して入賞した日本酒が全体の57%を占めました。現在の鑑評会で入賞するためには、本酵母を使用することもポイントの1つとして挙げられそうですね。この酵母の特徴としては、リンゴのような爽やかで甘味を含んだ香りを取りやすい「カプロン酸エチル」を高生産することや、酸が少ない、酵母の識別が容易(汚染チェックなどの醪管理等に便利)などのメリットがあることから、全国的に人気のある酵母となっています。味わいの多様化が進む中で、フルーティーな香りを求める消費者が増えてきたこと、研究技術の進歩がこの酵母を生み出したのでしょう。

善哉酒造のご紹介

saketakuで取材に行った際に、善哉酒造さん雰囲気を感じることができる記事も用意しました! 地域の方がこぞって水を汲みに来る汲みに来ているほどきれいな水であることも分かると思います。 ぜひ「日本酒と水〜善哉酒造〜」をごらんください!

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