こんにちは!
前回は「日本酒の発酵経路」について簡単にご紹介していきました。
大枠の経路は覚えていますでしょうか?
デンプン→グルコース→エタノール
でした。
今回は、日本酒を数値から読み取ることがテーマ。
日本酒は「辛口」を皮切りに不明瞭な定義が散在しています。
私たちにとって馴染みのある表現ですが、全く正確な表現ではありません。
今回は「甘味」と「キレ」に着目します。
甘味は「ソフトな印象を与える味」
キレは「シャープな印象を与える味」
です。
上記2タイプを、実際のラベルから読み取ることができるものから表記していないものまで、意味を解説していきます。
日本酒には良い印象を与える味と悪い味がある
日本酒の味わいについては別のテーマで深く取り上げますのでここでは簡単に。
ヒトが日本酒を飲むと、脳内のいくつかの部位が反応します。
脳が喜ぶ味わいがソフトな印象を与える味。
脳が拒絶しているのがシャープな印象を与える味。
では、どういった物質が脳に影響を与えているのでしょうか。
脳が喜ぶソフトな印象を与える味
・甘味
・うま味
・なめらかさ
の3つです。 疲れたとき、無性に甘い物が欲しくなりませんか?
これは脳が自然と快感を求めている証拠なのです。
また、甘味は脳にとって満腹中枢を上げる役割でもあります。
脳が拒絶するシャープな印象を与える味
・酸味
・苦味
・渋味
・刺激
の4つ。
これらは脳内において不快な影響を与えていますが、時にこれらの味わいが必須となります。
お酒をよく飲まれる方は、甘味の多い酒ばかり飲んでしまうと満腹中枢が上がり、呑み続けることができません。
いわゆる「辛口」と言われるお酒は、脳内にとっては不快感を感じる味が多い傾向なので、満腹中枢も上がりづらく飲み続けることができるのでしょう。
各種数値の意味と役割
ラベルに記載されている表記の意味と、指標が表す味について解説していきます。
さらっと解説していますが、必ず覚えたほうが良い内容ですよ!
アルコール度
言わずとしれたアルコール。現在の日本酒では15度が多くなっています。
100 ml中にアルコールが何ミリ含まれているかということです。
純粋なアルコールを飲むと、次のような味を感じます。
・甘味
・苦味
・刺激
これらの味は、アルコール分が高くなるほど強く感じ、反対に弱いほど感じづらくなっています。
アルコールは「味わいの濃醇さ」に関わっているのですね。
精米歩合
玄米の状態から外側を徐々に削り、削った後に残った精白米の割合を示します。
精米歩合を元に特定名称が分類されていますね。
基本をおさらいしたい方は
をご覧ください!
精米歩合が大きいほど、タンパク質の含量が多くなります。
タンパク質含量が多ければ、アミノ酸が増える可能性が高くなるということですね。
しかし、精米歩合は直接味に影響を与える指標ではなく、蔵の造り方によって大きく変わります。
日本酒度
日本酒を好きになり始めた方ほど勘違いしてしまう指標。
日本酒中に含まれる「グルコースの量」を、液体の重さの違いを利用して表している指標です。
比重(液体の重さ)が関与しています。
水は 100 ml で 100 g エタノールは 100 ml で約 78g グルコースは 水の 1.56 倍
グルコースが多いほど、日本酒度はマイナスを指します。
日本酒度とは甘味を感じる物質を測定した指標ですが、甘味を与える指標は日本酒度だけではありません。
アルコールやアミノ酸も同じように甘味を感じます。
日本酒度だけが甘味を指す指標ではないということは覚えておいてくださいね。
酸度
文字とおり、酸味を与える指標です。
酸味は主に「乳酸・コハク酸・リンゴ酸」から成り立ちます。
(その他の種類も合わせると10種類は存在します)
酸味の強いお酒に感じる味は2つ。
・酸味
・刺激
酸味は温かくなると美味しいものと、冷たいままで美味しい種類があります。
また、酸味はアルコール濃度の高低に関わらず、常に一定の味わいの量を示します。
酸味に関しては、一旦ココまで。
アミノ酸度
アミノ酸と言えば「うま味」を想像される方が多いと思いますが、前回の「日本酒の発酵理論」でもお伝えしたポイントがありました。
味としては3つの味を作り、余韻を長く取る性質を持っています。
・甘味
・うま味
・苦味
アルコールと同様、「味わいの濃醇さ」に関わっています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
日本酒のラベルにきしされている指標と、実際の酒の味わいについて概要を解説していきました。
次の章からは本題。
これらの指標が、どのように関わってくるか、詳細に解説していきたいと思います。
「楽しい日本酒のテイスティング講座」の目次
日本酒の発酵経路を解説!デンプンから何が出来る??
日本酒の分析値が果たす役割〜ラベルには書かれない「アミノ酸度」がとても大切〜(←イマココ)
日本酒と色の関係〜焼き肉と原理は一緒〜
「透明の日本酒」〜蔵人の怒りから大発見が生まれた!?〜
「緑色の日本酒」〜フレッシュなお酒であるほどグリーンに〜
「黄色の日本酒」〜熟成の進行具合〜
日本酒と香りについて〜人は約400種類の香りを嗅ぎ分けられる!〜
「フルーティーな香りの日本酒」〜ベースはリンゴとバナナ。あとは何を足す?〜
「清涼感があってスッキリとする日本酒」〜ヨーグルトや青竹も爽やかな印象を与えます〜
「ずっしり落ち着いた日本酒」〜油性マジックや蜜蝋の香り?〜
「香ばしい熟成感のある日本酒」〜飴またはカラメル。ときどき紹興酒〜
お米から作っているんだから!「米の香りのする日本酒」
この香りがしたらアウト!「質が良いとは言いづらい日本酒」に共通する香りたち
日本酒の味わいについて〜人は7個の味しか感じられません〜
「日本酒と甘味」〜脳が自然と欲する味〜
「日本酒とうま味」〜うま味も酵母が作る。深みと重みを与える味〜 \
「日本酒と酸味」〜爽やかな酸とまろやかな酸〜
「日本酒と苦味」〜時には深み、時には刺激〜
「日本酒と渋味」〜ポリフェノールはほとんどありませんが、渋いです〜
「日本酒と刺激」〜アルコール?酸味?刺激を与える要素たち〜
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