こんにちは!
楽しい日本酒のテイスティング講座、3回目を迎えました!
前回は、日本酒のラベルに書いてある項目について解説をしてみました。
アルコールが「甘味・苦味・刺激」を持っていたのは意外だったのではないでしょうか。
その他にも、アミノ酸が持つ役割や日本酒度に関する基本的なこともおさらいしていました。
まだ読んでいない方は
日本酒の分析値がもたらす役割〜ラベルには書かれない「アミノ酸度」がとても大切〜
をごらんください!
今回からは実践的な内容を取り上げていきます。
日本酒のテイスティングを行うときに気をつけることは「色・香り・味わい」を客観的に評価すること。
テイスティングを行うときの天候や温度などの外部環境に左右されないことも大切です。
まずは、蔵の保管環境という外部要因によって異なる「色」について見ていきたいと思います。
日本酒にはどんな色がある?
日本酒の色をしっかりと確認したことのある方はどれくらいいらっしゃいますか?
お酒によって、全く異なるんです。
このような色の違いがあるのには理由があります。
次の記事からそれぞれの具体的な色の違いをお話するとして、本記事では「透明な日本酒」と「色が付いている日本酒」に焦点をあてて解説していきたいと思います。
日本酒の色を抜く作業
しぼりたての日本酒は「緑色」であることが多くなっています。
フラビンによってこれらの色が付いているように見えるわけです。
それぞれの物質が反射出来る光の波長が異なることによるものなので、詳細は割愛します。
色が付いている状態を「無濾過(むろか)」といいますが、ろ過したお酒はどのようになるのでしょうか。
・透明な日本酒になります。
目の前にある日本酒が透明なら、一般的に「炭ろ過」をしていると言って良いでしょう。
「炭」を入れただけでそんなに変わるの?と思われることもあります。
ここで、活性炭を入れると吸着される物質をまとめてみました。
色
メラノイジン
香り
バニリン、フェルラ酸
味
酸味=コハク酸、リンゴ酸、クエン酸 etc・・・
苦味=フェニルアラニン、トリプトファン、チロソール、ペプチド etc・・・
渋味=チロシン
ビタミン=フラビン
つまり、着色要因である
> ・メラノイジン > ・フェリクシン > ・フラビン
をすべて取り除いてしまうということですね。
そのため、活性炭を用いると透明な日本酒になるということです。
ただし、今回は「活性炭」の大枠について取り上げたに過ぎません。
もっと深い世界がありますが、それはまた別の機会にて。
日本酒の色がついていく原理
しぼりたての状態が緑や黄色であった日本酒が、徐々に茶色へと濃くなっていく原理をご紹介しましょう。
「メイラード反応」です。
焼き肉の表面に焼き跡がつくのも、メラノイジンが生成されたからですね。
とても複雑な反応なので、本質となる部分のみお伝えします。
メイラード反応は、
・糖
・アミノ酸この2つの物質が他の経路もまたぎながら反応を繰り返すことで、
・メラノイジン
・ソトロンなどを生成する反応。
色が濃く、味わいが濃醇に、香ばしい香りになっていきます。
色によって味わいが異なる
透明や黄色、緑である理由は簡単にお伝えしました。
メイラード反応を大元に色や香りが変化しているのですね。
それぞれの色の日本酒の特徴をざっくりとまとめます。
透明=味わいがキレイで深みを感じづらい(火入れの回数や保管方法、保管期間によってズレはありますが・・・)
グリーン=しぼりたて、またはとてもフレッシュである可能性が高い
イエロー=糖分とアミノ酸が多いか、熟成期間が長いか。味はこの中で最も濃醇に感じやすい
次の記事からは
上記で紹介した「透明・グリーン・イエロー」 の日本酒についてそれぞれ解説していきます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
色ひとつ取っても、とても奥が深いですよね。
大切なポイントをまとめます。
・透明な日本酒は炭ろ過である可能性が高い ・色がついていく現象は「メイラード反応」によって起きている
活性炭に吸着される物質
色
メラノイジン
香り
バニリン、フェルラ酸
味
酸味=コハク酸、リンゴ酸、クエン酸 etc・・・
苦味=フェニルアラニン、トリプトファン、チロソール、ペプチド etc・・・
渋味=チロシン
ビタミン=フラビン
つまり、着色要因である
> ・メラノイジン > ・フェリクシン > ・フラビン
をすべて取り除いてしまう。
メイラード反応は、
>・糖
>・アミノ酸 > >この2つの物質が他の経路もまたぎながら反応を繰り返すことで、
>・メラノイジン
>・ソトロン > >などを生成する反応。 > >色が濃く、味わいが濃醇に、香ばしい香りになっていきます。
「楽しい日本酒のテイスティング講座」の目次
日本酒の発酵経路を解説!デンプンから何が出来る??
日本酒の分析値が果たす役割〜ラベルには書かれない「アミノ酸度」がとても大切〜
日本酒と色の関係〜焼き肉と原理は一緒〜(←イマココ)
「透明の日本酒」〜蔵人の怒りから大発見が生まれた!?〜
「緑色の日本酒」〜フレッシュなお酒であるほどグリーンに〜
「黄色の日本酒」〜熟成の進行具合〜
日本酒と香りについて〜人は約400種類の香りを嗅ぎ分けられる!〜
「フルーティーな香りの日本酒」〜ベースはリンゴとバナナ。あとは何を足す?〜
「清涼感があってスッキリとする日本酒」〜ヨーグルトや青竹も爽やかな印象を与えます〜
「ずっしり落ち着いた日本酒」〜油性マジックや蜜蝋の香り?〜
「香ばしい熟成感のある日本酒」〜飴またはカラメル。ときどき紹興酒〜
お米から作っているんだから!「米の香りのする日本酒」
この香りがしたらアウト!「質が良いとは言いづらい日本酒」に共通する香りたち
日本酒の味わいについて〜人は7個の味しか感じられません〜
「日本酒と甘味」〜脳が自然と欲する味〜
「日本酒とうま味」〜うま味も酵母が作る。深みと重みを与える味〜 \
「日本酒と酸味」〜爽やかな酸とまろやかな酸〜
「日本酒と苦味」〜時には深み、時には刺激〜
「日本酒と渋味」〜ポリフェノールはほとんどありませんが、渋いです〜
「日本酒と刺激」〜アルコール?酸味?刺激を与える要素たち〜
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