日本酒のアルコール度数について解説! 焼酎やビール、ワインとの違い

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日本酒は酔いやすい、悪酔いするなどと言われることがあります。酔うとは、お酒を飲むことで、血液にはいったアルコールが脳を麻痺させること。酔い加減は、血中のアルコール濃度が決め手になります。とすると、アルコール度数の高い飲み物を飲めば、少ない量でも早く酔いが回りますよね。

では、日本酒のアルコール度数は、ほかの酒類とくらべて高いのでしょうか? 実際には、15度のものから18度、中には10度以下のものまでさまざまです。日本酒のアルコール度数はどのようにして決まっているのか、また、他の酒類のアルコール度数についても紹介します。

日本酒のアルコール度数とは?

日本酒のアルコール度数を決める要因になっているのは、酒税法や造りの特徴、また味わいのバランスなどさまざまです。詳しく説明していきます。

酒税法で決められたアルコール度数は、22度未満

日本酒は、酒税法で「清酒」と呼ばれています。清酒の定義のひとつに、「アルコール分が22度未満のもの」という決まりがあり、アルコール度数が22度以上だと清酒を名乗ることができません。

ただし、市販の日本酒で最も多いアルコール度数は、15度〜16度です。なぜ、15〜16度が多いのでしょうか。

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酒税によるアルコール度数の決まり

2006(平成18)年以前の酒税法では、アルコール度数によって酒税が決められていました。15〜16度を基準として、16度を超えると1度あがるごとに酒税が加算されていたのです。造り手の立場から考えると、15〜16度の間に収めようとするのは、当然だったのかもしれません。

酒造りの現場では、20度が限界ライン

もちろん理由は、酒税だけではありません。酒造りの現場にも、アルコール度数が20度前後に収まる理由があります。

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造りの現場からアルコール度数を知る

発酵が進む過程で、醪のなかの酵母が糖を食べてアルコールと炭酸ガスを出していきます。酵母の酒類によっても違いは見られますが、通常、アルコール度数10度から14度くらいまで元気に発酵を続けますが、酵母は高濃度のアルコールに弱いため、自分で出したアルコールによって死滅してしまいます。12度から少しずつに酵母の死滅が始まり、18度以上になると発酵が鈍くなります。結果として、原酒の状態で20度くらいに収まるようになっています。

また、酵母が死滅していくと、酵母体内のアミノ酸や硫黄化合物が醪に放出されて、香味が悪くなる傾向もあります。造り手や酒質によっても違いはありますが、通常は、アルコール度数が出過ぎる前にお酒を搾っているのです。

アルコール度数と味わいの関係とは?

出来上がった日本酒は、「原酒」として商品化される以外のものは、アルコール度数15〜16度に加水調整をしてから出荷されています。先に説明したように、過去の酒税の事情もありながら、味わいの面からみても、15〜16度が日本酒にとって「バランスが整って飲みやすい」と考えられているのではないでしょうか。

純粋なアルコールを味わうと、甘味や苦味に加えて、ピリピリするような刺激が感じられます。度数が高まるほど刺激感は強まって、20度くらいになると舌が痺れるように。もちろん、刺激だけではなく、甘味や苦味も増すので、厚みやボリューム、ボディ感がでて、飲みごたえのあるお酒になっていきます。

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アルコール度数による日本酒の味わいの違い

一方で、アルコール度数が高い日本酒でも、この刺激感が少ないものもあります。糖やアミノ酸度が高く、酸度が低いと刺激をダイレクトに感じずに、度数の高さやアルコール感が気にならなくなるのです。たとえば、甘いカクテルなどは飲みやすいですが、実は20度以上だったりすることもあります。逆に、アルコール度数が低くても酸度が高いお酒もピリピリした刺激を感じます。このように、香味バランスによって、アルコールの刺激をマスクすることもできるのです。

アルコール度数が低いものは、刺激が少なくなると同時に、全体的に薄く感じてしまうことが殆どです。ただし、お酒が苦手な人にとっては飲みやすいと捉えられるかもしれません。宝酒造のスパークリング清酒「澪」は5%、一ノ蔵の「ひめぜん」は、8%など、低アルコール商品で人気の銘柄も増えています。

saketakuでは、アルコール15〜16度のお酒を頒布するようにしています。

saketakuでも、アルコール度数15〜16度と味わいにバランスがとれた状態であるお酒を基準に選ぶことがおおくなっています。

詳細について気になる方は、「お届けする日本酒の選定基準」

をご覧くださいね!

そうは言っても、個性に富んだお酒を飲みたい方も多いと思います。

そのため年に一度は、季節を楽しんでもらえるように、ロックで楽しめる度数の高い日本酒をお送りすることもあります。

「BURANKU 吟醸原酒」はアルコール度数20度の原酒。
氷を入れると、ちょうどいいバランスで薄まります。

個性豊かな日本酒を味わってみてくださいね。

焼酎やビールやワインのアルコール度数は?

日本酒のアルコール度数は15〜16度が、平均値。では、他の酒類はどうでしょうか? 日本酒は高いアルコールを出すことができるお酒と言われていますが、もっとアルコール度数が高いものに、焼酎やウイスキー、スピリッツ類があります。他の酒類のアルコール度数について、探っていきましょう。

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芋焼酎の原料には、紫系・ オレンジ系・黄白系に分かれています

焼酎のアルコール度数について

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芋焼酎の原料には、紫系・ オレンジ系・黄白系に分かれています

焼酎の平均的なアルコール度数は、20〜25度。日本酒と比べるとずいぶん高いですが、それは、醸造酒と蒸留酒の違いによるものです。 日本酒や焼酎でよく聞く「醸造酒・蒸留酒」の違いと発酵方法を参照ください!

簡単に言うと、酵母によって原料をアルコール発酵をさせたものが醸造酒。その醸造酒を蒸留したものが蒸留酒です。焼酎は、酒税法によって連続式蒸留焼酎と単式蒸留焼酎の2つに分けられ、原酒のアルコール度数も変わります。

連続式蒸留焼酎

連続式蒸留機で蒸留したお酒。酒税法で、アルコール度数は36度未満に定められています。それ以前の酒税法の分類では、甲類焼酎とも呼ばれていました。連続して蒸留を繰り返すことで、アルコール度数96度と純度の高いアルコールが生成されます。それを36度未満まで加水で薄めているのです。スッキリとしたクリーンな味わいで、割って飲むベースとして飲まれることが多いです。

単式蒸留焼酎

単式蒸留機で醸造したお酒。原料は、米、米こうじ、芋や蕎麦などさまざま。アルコール度数は、45度以下と定められています。甲類焼酎に対して、乙類焼酎と呼ばれていました。単式蒸留焼酎の蒸留は、単式蒸留機で1回のみ。お酒の味わいに、原料の風味が感じられます。なかでも、穀類、芋類、清酒粕、黒糖のほか、国税庁が定めた49品の原料を使用したものは「本格焼酎」と呼ばれ、個性豊かな風味が楽しめるお酒として人気です。

焼酎の度数が20〜25度の理由

昭和15年にできた酒税法により、アルコール度数25以上から1度上がるごとに酒税が加算されるようになり、以来25度以下のものが多く出回るようになりました。日本酒と同様に、一般に流通しているお酒おアルコール度数は、酒税の歴史が大きく関わっているようです。

ビールのアルコール度数について

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原料である麦。ホップの種類や添加量も大切です。

日本酒と同じ醸造酒でも、一般的に売られているビールのアルコール度数は4〜8度と低めです。海外のビールや大手メーカー以外のビールの中には、9度以上のビールもありますが、日本の大手メーカーが出しているビールは5度程度のものがほとんどです。なぜ、5度前後のアルコール度数が多いのでしょうか。

ビールのアルコール度数をあげるためには、糖類を添加するなどして発酵前の麦汁のエキスの濃度を上げていきます。麦汁のエキス濃度をあげることで、アルコール度数が高く、濃厚な味わいになるのです。味の濃いスタウトビールなどがよい例です。ただし、エキス濃度をあげすぎるとしつこい味わいになり、ごくごく飲める爽快感は失われてしまいます。

麦汁のエキス濃度はそのままで発酵をどんどん進めることでもアルコール度数を高くすることもできます。そうすることで、逆に、旨味や味わいが少なく、あっさりとした味になります。

ビールの風味はホップの種類や量によって変わりますが、アルコール度数による影響も大きいです。一般に、ビールはキリッと冷やして飲むのに適してます。スッキリ爽快で飲みやすく味わいもあるもの、というスタイルのビール美味しさを追求した結果、アルコール度数5〜5.5度くらいに収まったのではないでしょうか。

ワインのアルコール度数について

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ワインの品質の良し悪しを左右するひとつの指標に土壌成分や気候が挙げられます。

ワインのアルコール度数は、7〜15度と幅があり、白ワインと赤ワインでも違いが見られます。白ワインは発酵温度が低く、アルコール発酵が早めに止まるため、赤ワインの方がアルコール度数が高くなりがちです。

基本的に、ブドウの糖度によってワインのアルコール度数が決まります。ブドウの種類や育った土地の気候によって糖度が変わるので、さまざまなアルコール度数になってしまうわけです。

また、ワインの製法によっても変わります。たとえば、スペインのシェリー、ポルトガルのポートワインなど、酒精強化ワインと言われるワインは、アルコール度数が高く20度前後になります。ブドウが発酵している途中で、添加アルコール(ブランデーなど)を加え、強制的に発酵をとめるているのです。貴醸酒と呼ばれる日本酒も、発酵途中でアルコールを添加して、甘く濃潤な風味に仕上げています。

悪酔いしないための対策を!

甘味のあるお酒は、アルコール度数の高さを感じにくく、飲みすぎてしまう傾向があります。また、たとえアルコール度数が低くても、たくさん飲むと悪酔いしていまいます。アルコールを分解するためにも水分が必要です。合間に和らぎ水(やわらぎみず)を飲み、体への負担を抑えましょう。

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