日本酒をいれる升について徹底解説!

日本酒をいれる升について徹底解説!|saketaku



 

日本酒を升に入れる理由とは?

 

升はもともと、酒器ではなく計量器として使用されていました。市場でお酒やお米、油などの量り売りをする際、1升あたりの値段で価格が決められていたのです。そのため、升が酒器として使用されるようになったのは、江戸時代に入ってからだとされています。量り売りの時に升に入ったお酒を試飲していたのが始まりで、そこから派生して升を酒器として使用するようになったようです。

 

偶発的に酒器として使用され始めた升ですが、単に利便性だけでなく、木目の美しさや木の香りなど、日本酒との相性の良さが定番の酒器として愛好される理由だと言えるでしょう。計量器として使用されていた升の素材は杉でしたが、酒器として使用されるようになってからは、日本酒の美味しさを引き立てる素材として主に檜が使用されています。


そして、日本酒が升に入れて飲まれる理由としては、縁起が良いということもあげられます。升は神様に穀物を備えるための器として使用された歴史もあるため、神聖な器として認識されてきました。また、「ます」という読みが幸せや健康を「増す」というゲン担ぎにもなるため、結婚式などのお祝い事でも使用されています。そのような背景から、酒器としての地位を確立していったのでしょう。

 

ゲン担ぎという意味でも、ハレの日に美味しい日本酒を飲むのに適した酒器のひとつと言えるのでないかと思いますし、升で飲むのが好まれている理由にもなると思います。ぜひ升に日本酒をいれて飲んでみてはいかがでしょうか?

 

升で日本酒を飲む時の量はどのくらいがいいの?

 

升の容量は1合であるため、日本酒を約180ml注ぐことができます。お猪口は約45〜90mlの日本酒を注ぐことができるので、最大4倍の容量が入る計算です。升は独特の四角い形状をしているため、日本酒を飲む時はグラスやお猪口で飲むときと少し勝手が違います。まず、升の持ち方はグラスのように握るのではなく、お椀を持つ要領で親指を縁にかけ、その他の指で底板を支えて持つのがマナーです。

 

わし掴みなど、乱暴に持つのは禁物です。次に飲み方ですが、平らな部分から飲むのが正解です。グラスのように飲むとこぼれてしまうので、下唇を縁に当ててすするように飲むと良いでしょう。尖っている角からの方が飲みやすそうに感じますが、マナー違反となることもあるので少し気をつけながら飲んでみましょう。


そして、升での通な飲み方として、塩を盛るという方法があります。塩を升の1角に盛り、塩を舐めながらお酒をすするという飲み方です。なぜ塩を盛るのかというと、神聖な升に塩を盛り供物とするという側面もありますが、日本酒と塩の相性が良いのが一番の理由です。塩を肴に日本酒が楽しまれてきたという歴史があり、日本酒には存在しない味の塩と一緒に食べることで味わいとのバランスをうまく整えることができます。

 

日本酒の種類だけでなく、塩の種類にまでこだわってみると、新しい自分だけの味わいを見つけられるかもしれません。また、塩を盛って升酒を出された場合でも、塩と一緒に飲みたくなければ払ってから飲んでOKです。

 

日本酒を飲んだ後の升の洗い方

 

升で日本酒を飲む醍醐味は、木の香りとお酒の調和です。そのため、升独特の木の香りを保ちながら保管するためには、洗い方にも気をつける必要があります。まず、升はグラスのように食器洗剤で洗うのは推奨できません。基本的には、何もつけずに水洗いとなります。ただし、水だけではきれいに洗えているか不安な場合、塩や重曹でこすり洗いすると良いでしょう。

 

塩や重曹は、木の風合いを保ちながら升を清潔に洗うことができます。殺菌効果もあるので、雑菌が繁殖するのを防ぐことができます。軽く飲んだだけなら、水洗いしなくとも硬く絞った布巾で拭くだけでもOKです。お湯で洗ったり、長時間水洗いしたり、つけおき洗いをしたりするのは、升の形を変形させる恐れがあるのでやめましょう。


そして、升は木製であるため洗った後はしっかり乾燥させることが大事です。ただし、食器乾燥機やドライヤーなどを使って高温で乾かすと、変形することがあるので止めましょう。洗ったらすぐに乾いた布で水けを拭き取り、風通しの良い冷暗所で自然乾燥させるのがベストです。乾燥させた後の保管場所も、湿気の多い場所や寒暖の差が激しい場所ではカビが生えたり変形したりすることがあるので、風通しの良い場所で保管しましょう。冷蔵庫や冷凍室などに入れて保管するのも禁物です。

 

升に入れた日本酒をこぼす?

 

升での日本酒の飲み方に、「盛りこぼし」や「もっきり」というものがあります。「盛りこぼし」とは升の上にグラスを置き、グラス一杯に日本酒を注いで升の中に少しこぼすというものです。升に一杯ギリギリまで入れて量り売りする「盛りきり」という言葉が語源となり、「もっきり」とも呼ばれています。もともとは、居酒屋でグラスに1合のお酒が入りきらないため、入りきらない分を升の中に溢れさせ、合わせて1合に調整して出したのが始まりのようです。その後は、たくさん溢れさせる方が粋な居酒屋というように、店の気前の良さを測るバロメーターとなりました。


「もっきり」には、正しい飲み方のルールは特にありません。しかし、溢れんばかりにグラスに注がれたお酒を飲むのは、少し難易度が高く感じるでしょう。スマートに飲む方法としては、まずはグラスのお酒を一定量飲み、グラスに入っているものを無くしていくことから始めるのがおすすめです。グラスのお酒が少なくなってきたら、升にこぼれたお酒をグラスの中にいれて飲んでいきます。とは言え、升にこぼれたお酒をグラスに注ぎなおして飲むのもOKですし、先に升にこぼれたお酒から飲み、次にグラスのお酒を飲むというのもありです。

 

通常お店で「もっきり」が出される場合は、お店のサービスやおもてなしの意味合いが大きくなります。その心を汲み、粋に楽しむのがマナーです。

 

プレゼントにおすすめの升

 

升は、日本酒好きな人に贈るのにおすすめのプレゼントです。様々なタイプの升があるので、選ぶ方も楽しめるのが魅力です。選び方としては、贈る人の嗜好に合わせて選ぶのが一番でしょう。例えば、日本酒が好きな人は、木の香りと日本酒の香りのブレンドを楽しみたいものです。そのため、プレゼントには香りの良い檜素材の升を贈るのがおすすめです。自宅にいながら、まるで料亭で飲んでいるような風流なお酒が味わえるでしょう。また、杉素材の升は使っているうちに味わいも増していくので、長く愛用したい人におすすめです。結婚や出産などのお祝いのプレゼントとしては、名前入りの升をプレゼントするのも悪くありません。縁起の良い贈り物でもあるので、嬉しいお祝い事にぴったりです。


ちょっと変わったプレゼントとしては、「もっきり」用の升があります。升の中におしゃれなデザインが描かれており、楽しい気分でお酒が飲めます。日本酒上級者へのプレゼントとしてもおすすめです。そのほか、日常的に日本酒を飲む人へのプレゼントなら、お手入れが簡単にできる防水加工の升を贈るのもおすすめです。普通の食器と同じように洗えるので、手間がかからず普段使いしやすいでしょう。そのほかにも、ジョッキの形をした升や、四角ではなく三角のものなど、遊び心のある升もプレゼントにおすすめです。

 

まとめ

今回は、日本酒をいれる升について徹底解説!というテーマで、日本酒を升に入れる理由などに触れました。

 

ぜひ一度升にいれた日本酒を飲みながら、再度読んでみてくださいね。

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