日本酒の生酒について徹底解説!

日本酒の生酒について徹底解説!|saketaku

 

日本酒の生酒とは

 

生酒とは火入れ(加熱処理)をしていないお酒のことです。一般的に日本酒は、醪(もろみ)を搾ってから味の変化を起こさないよう、通常2回火入れを行ってから出荷します。こうすることで品質が安定します。生酒では、火入れの工程を全て省き、そのまま(または加水調整をして)出荷します。酒税法では、生酒のことを「製成後、一切加熱処理をしない清酒」と定めています。

 

この加熱のタイミングと回数を覚えておくと日本酒について詳しくなれるので、ぜひ覚えておきましょう。


生酒は、火入れをしていない分、フレッシュで爽やかな風味になりやすいことが特徴です。生酒のなかには瓶の中でガスが発生して、まるでスパークリングワインのように感じられるお酒もあります。なお、瓶詰めする直前に1回だけ火入れしたお酒を「生貯蔵酒」、逆に醪を搾った直後に1回だけ火入れをして貯蔵、瓶詰めしたものを「生詰め酒」といいます。

 

また、生酒は開栓すると火入れした日本酒に比べて味の変化が早いことが多いです。しっかりと低温で保管すれば、半年以上、味の変化も含めてお愉しみいただけます。生酒の味を一切変えたくない方は、冷蔵で3日程度で飲み切ってしまうのがおすすめです。低温貯蔵の他に、最近は瓶内の空気を抜いて酸化を防ぐ器具も売っているので、ぜひ利用して美味しい日本酒を長期間楽しめるようにしても良いかもしれません。

 

生酒の保存方法

 

生酒は火入れをしていない分、味が変化しやすいので、保存方法には注意する必要があります。気を付けたいポイントとしては、まず、日本酒に日光を当てると発生する「日光臭」があげられます。日光臭は醸造中のアミノ酸が分解されて発生する不快な臭いのことで、別名「けもの臭」とも呼ばれています。日本酒はこの日光臭を防ぐために大抵茶色の瓶を使用していますが、冷蔵庫で保存することをおすすめします。


日本酒を保存する際に気を付けたいポイントとしては、そのほか高温による酒質の変化があげられます。特に生酒は酵素が生きているので、常温に出しっぱなしにしておくと発酵が進んで味がどんどん変化します。

 

家庭用冷蔵庫では生酒の推奨保存温度である-5℃をキープできませんが、冷蔵庫にいれてあるだけでも味の変化具合は遅くなっていきます。味の変化と共に愉しみたい方は冷蔵庫で保管しながら少しずつ、味の変化をさせたくない方は1週間程度で呑み切ってしまいましょう!

 

生原酒とは?

 

生原酒とは、火入れや割り水(加水調整)をしていないお酒のことです。一般的に生酒は加水調整してアルコール度数を15度くらいにしたものが多いですが、生原酒は出来立てそのままなのでアルコール度数も17~18度と市販の日本酒よりも少し高めになっています。ただし、蔵元によっては「生原酒」であっても「生酒」として販売しているところもあるので、正確な情報を知りたい方は、蔵元に直接問い合わせてみても良いかもしれません。


生原酒のなかには「無濾過生原酒」と銘打って販売しているお酒もあります。このお酒は、文字通り、濾過もせず、火入れもせず、加水調整もしていない、まさに搾りたてそのままを詰めたお酒です。なお、フィルターで濾過してもアルコール度数は若干下がりますが、酒税法上は製成後、アルコール分1%未満範囲の調整であれば「生原酒」と表示して販売することを認めています。無濾過生原酒は調整していない分、フレッシュでキリリとした味わいが楽しめます。

 

生酒の賞味期限

 

一般的に日本酒を含め酒類全般には賞味期限の表示がありません。酒類はアルコールの殺菌作用によって長期保存が可能だからです。これは品質が変化しやすい生酒も同様です。ただし日本酒は「瓶詰めをした月」を製造年月として記載しなければならないので、生酒を購入する際は必ずこの製造年月を確認しましょう。製造年月から期間があいている銘柄でも、ー5度での保存を続けているなどで保管環境が良ければ非常に味わいは柔らかくなっていきます。

 

生酒のアルコール度数は高い?

日本酒に水を加えてアルコール度数を下げているケースがあります。アルコールが高いとアルコールの香りが強く、刺激感と清涼感を伴った非常に爽やかな香りを感じられます。また、日本国内の酒税法では、アルコールの度数が22%を超えると日本酒とは名乗ることができません。しかし普通に酒造りをしていれば、アルコールが22%を超えることはありません。

 

日本酒として販売するためにも、加水しているんですね。生酒という名前から日本酒を醸造してから、お水を加えていないのではないかと考える人もいるかもしれませんが、加水していない日本酒は「原酒」と呼ばれるので、覚えておくとよいでしょう。

 

原酒は、発酵が完了した段階で、アルコール度数が22%未満になるように造られているのですが、加水していないため、アルコールの度数が高めになるケースが多いです。そのため、居酒屋さんなどで、原酒をみかけたときは、アルコール度数がどのくらいになっているか確認してみると良いでしょう。16度の原酒であれば、原酒にもかかわらずジューシーな味わいを愉しむことができます。

 

「生酒」は火入れと言う加熱殺菌を行っていない酒のことです。こちらはアルコール度数とは関係しません。「生酒または火入れ酒」、「原酒または加水酒」と分類することができます。覚えておいても良いでしょう。

 

 

生のつく日本酒の読み方いろいろ

 

#生酒(なまざけ)

生酒とは一切火入れをしていない清酒のことです。「なまざけ」「きざけ」など複数の読み方がありますが、酒税法上は「なまざけ」と呼ばれています。火入れしない分、保存には気を使わなければならず、生産量は少なめです。


#生酛(きもと)

生酛とは日本酒の醪の元となる酒母(酛、もと)を造る製法のことです。日本酒は米を麹で糖化させ、その糖をさらに酵母の力で発酵させて出来上がりますが、生酛造りではその酵母を助ける乳酸を米や麹をすり潰す手作業などを行って造ります。

 

一方、酵母を増やす作業をする酒母造りのときに、「速醸系酒母(そくじょうけいしゅぼ)」とも呼ばれるこの方法は、酒母造りの最初の段階で液体の乳酸を加えてタンク内を酸性にします。現在の日本酒造りで主流となっている方法で、生酛造りのように乳酸を自然に得ることはなく、安全に乳酸を添加するため、基本的に腐敗などの失敗をすることはありません。

 

速醸系酒母は明治43年に考案されて安定した酒母造りができることがメリット。通常は1か月ほど製造にかかるものが速醸系だと2週間前後で完成することも特徴です。生酛造りの日本酒は、特有の乳酸の香りと味を感じることができます。ぜひ実際に飲んで確かめてみてくださいね。


#生貯蔵(なまちょぞう)

生貯蔵酒とは、お酒を火入れせずに貯蔵し、瓶詰めする直前に1回だけ火入れした清酒のことです。生酒のようなフレッシュさがありながら品質が変化しにくいという特徴があります。


#生詰め(なまづめ)

生詰め酒とはお酒を貯蔵する前に1回だけ火入れした清酒のことです。春に造ったお酒を一夏熟成させ、秋口に出荷する生詰め酒を別名「ひやおろし」と呼んでいます。しかし、近年ひやおろしの定義が広義になっているため、一概にも生詰めの日本酒だけがひやおろしとは言えないようです。

 

まとめ

 

今回は、日本酒の生酒について徹底解説!というテーマで、日本酒の造り方などに触れました。

 

ぜひ一度飲みながら、再度読んでみてくださいね。

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