総評-酸味でサッパリ、キレが良い!冬を感じさせるぬる燗酒
終始、甘味は少なく酸味を優位に感じます。この酸味を最も活かせるのは温度帯とペアリング。口中の油脂分を切らすのも良し、甘味の強い料理でバランスを取るのも良いお酒です。
香り
香りは弱いですが、ヨーグルトの香りを主体としてグレープフルーツやメンソールを感じます。香りを楽しむお酒では無いため、意識して取る必要もありません。清涼感を強く感じる構成です。
味わい
口にふくんだとき-優しい甘味に勝る酸。キレを強く感じます
甘味の量は少なく、優しい柔らかさと酸味が主体です。空けたては爽快感が強いので、舌の先が少しピリピリ感じられるかもしれません。
余韻-酸味の爽快感!冷やせばスッキリ、ぬる燗で程よいバランスに
酸味が軸となり、刺激感や苦味が後追いします。キレを強く感じるため、食中酒でさらなる真価を発揮することでしょう。
温度帯
このお酒で特筆すべき特徴は酸味が強いことです。そのため、冷酒では強い爽快感を感じます。この酸味が得意でない方は40度で楽しんでください。甘味が増し、味わいのバランスがとれますよ!
ペアリング
油脂分を切らす目的でのお酒とするならば秋鯖がオススメです。ペアリングの視点では甘味やうま味を一定量持っている肉じゃが、冬にかけてカキフライはいかがでしょうか。レモンではなくタルタルソースで召し上がってみてください。
特別コラム-きょうかい10号酵母について
1977年から日本醸造協会より頒布されているきょうかい10号酵母。別名、明利小川酵母とも呼ばれます。茨城県は明利酒類株式会社の小川知可良博士が開発したためです。博士は仙台国税局鑑定官室長も務め、多くの蔵へ足を運び未来の杜氏に酒造技術の指導をしました。味わいの特徴としては、きょうかい酵母7号や9号に比べ酸度が低く、爽やかな香り(高級アルコール類)が出やすくなっていることから、吟醸酒や純米酒に向くと言われています。酒造りにおいては、発酵する期間(醪日数)が長く、発酵速度が若干遅いという特徴を持つため、醪において低温長期発酵に持って行きやすいです。しかしアルコールを作る能力は他の酵母と比べてさほど差異が少ないため、温度コントロールが難しいと言われています。実験によるデータと蔵で造った際の本酵母の性質は異なるようで、現場の環境によって味わいが変化するのもまた面白いですね。