日本酒の熟成について徹底解説!熟成期間は?香りは?

日本酒の熟成について徹底解説!熟成期間は?香りは?|saketaku

 

日本酒の熟成酒とは

 

日本酒には新酒を愛でる文化がある一方で熟成酒を楽しむ文化もあります。日本酒の熟成酒とは酒造りをして搾りなどを終えた後の日本酒を長期間にわたって貯蔵したものです。一般的には日本酒は製造した一年間の間に消費されていますが、その後もじっくりと寝かせることによって味わいを変化させた日本酒が流通しています。

 

酒蔵が製造する熟成酒としては1年、3年、5年といったものが典型的で、10年くらいのものを取り扱っているケースもあるというのが実情です。長いものでは40年以上のものも存在しています。このように熟成をさせているお酒としてワインやウイスキーなどが有名です。日本酒の熟成酒が流通していなかったのは昔の酒税が関係しています。現在は日本酒が酒蔵から出荷されたときに税金が課せられますが、昔は造った時点で税金が課せられるのです。造って販売せずに保存しておくことは、売上にも繋がらずに税金だけを払うことになったので酒蔵は嫌がっていたのですね。


熟成酒は注目度も高まってきた影響で新たに挑戦している酒造も増えてきています。ただ、熟成酒は売れるか確定されないまま貯蔵コストがかかるのが問題になりがちで本格的に大量生産をしていることはほぼありません。基本的には酒を搾った後にタンクに詰めるか、瓶に詰めるかのどちらかで貯蔵し、衛生面と温度の管理を徹底して行うことによって熟成酒が製造されています。

 

そのため、適正な管理を行える貯蔵庫を十分に広く確保できないと熟成酒の量産は難しいのです。温度などの管理には人件費もユーティリティーコストもかかるため、大手酒造が比較的多めに造っている程度で他は少量の生産になっています。ですが中には古酒を専門で製造する蔵もあるなど、様々です。

 

熟成古酒が飲める店でまずは試してみて、好みの味が見つかれば購入してみてもいいかもしれないですね。

 

日本酒の熟成を自宅で?

 

日本酒の醸造所でなくとも自宅でも日本酒を熟成させられるのではないかと思いついた方もいるでしょう。確かに酒蔵でも温度管理をして保存することにより熟成させているだけだと考えると自宅でもできる可能性があると考えられますよね。

 

ただ、やり方に注意しなければ熟成ではなく劣化してしまうので注意が必要です。未開封の日本酒であれば雑菌の混入などの心配はありませんが、高温で保存するなどすると老香(ひねか)と言われる日本酒業界では良くない香りが出てしまいます。自宅での熟成で失敗しないためにはどのようにすれば良いのでしょうか。


何より大事なのは直射日光を避けて高温にならないようにできるだけ温度を安定させることです。褐色瓶に入っていても紫外線は若干量透過するのでとにかく紫外線にさらさないことがポイント。日光は熱エネルギーも持っているので、太陽の強い光が当たっているところだけ温度が上がってしまうのも問題点です。

 

一般的には30度以上になると変化しやすくなるので、少なくとも温度が上がり過ぎないようにしましょう。太陽光を完全に遮断できるようにことを必須条件とすると良いと思いますよ。夏場は特に気温が上がりやすいので注意が必要で、光も当たらないワインセラーなども活用すると良いでしょう。また開栓後は、なるべく空気に触れないようにするのが大切です。瓶の中の空気を抜く栓を購入して活用してみるのも良いかもしれませんね。

 

日本酒の熟成香とは

 

日本酒の熟成の特徴といえば、熟成由来の香りがあるかということです。長期保存をしていると日本酒の中に含まれているアミノ酸や糖、有機酸やエステル類の量が変化していき、熟成酒を作り上げられるというのが基本です。

 

例えば、アミノ酸が分解するとアルデヒドやアンモニア、硫黄化合物などが発生します。これは3年以上の熟成酒で感じることが多い印象で、増えるとより複雑で香ばしさを感じるので、飲み慣れていない方は慎重に飲み進めるのが良いでしょう。


糖もフルフラールなどの別の物質に徐々に変換されていき、色や香りとなって現れていきます。熟成酒が色付くのは糖とアミノ酸が反応することが影響し、褐色に向かっていきます。また、香りの変化についてはアミノ酸や有機酸の影響が大きいとされています。

 

吟醸香のもとになっている物質である有機酸エステルは徐々に減少していき、穀物などの少し重みがある香りの成分が生まれてきます。色々な種類の有機酸エステルが独特の熟成香を生み出しているのです。さらにアミノ酸からできるソトロンという物質の焦げた風の香りが有機酸エステルの香りと混ざることにより複雑な香味ができあがっています。

 

日本酒の熟成の温度

 

熟成酒を造るときの日本酒の熟成温度はどのくらいが適正なのでしょうか。基本的には温度が高い方が熟成が早く進み、温度が低いほど変化がゆっくりになります。これは化学反応によってアミノ酸や糖などが変化する仕組みになっているからで、温度が高いほど反応速度が速くなるのです。


では何度で保管するのが良いのでしょうか。20度以下に保つようにすれば熟成が程よく進んでいくというのが一般的な見解です。ただ、お酒によって含まれる成分が大きく異なるので、違うお酒を同じ温度で熟成をかけても、どのような変化が進むかが異なります。ワインセラーなどの温度調節が可能な保管庫を使って調節すると熟成の進み具合はある程度同じにできるかもしれません。。酒蔵で熟成が進まないとされる温度は-5度です。一般的な家庭の冷蔵庫では難しいですが、小さいものでは1〜2万円で購入できるものもあるそうなので、もし丁寧に保管をしていきたい方は購入しても良いと思いますよ。

  

日本酒の熟成期間

 

日本酒の熟成期間は好みで判断するのがおすすめです。熟成はだんだんと進んで変化を起こしていくので、1年後と3年後では全く違う味わいになります。好みに合わせて適切なタイミングで熟成を終えて開封したり、半年後、1年後、2年後と熟成期間ごとの味の変化を楽しめる方法もあります。段階を分けて飲む場合は飲み口をしっかりアルコールで殺菌しましょう。カビが生えてしまうことがあります。熟成させてウイスキーのような感じにしたいのであれば常温に近い温度で3年~5年くらいは熟成させることが必要になります。カラメルなどの香ばしい香りを少しずつ出していきたい場合には冷蔵で1年~2年くらいが良いかもしれません。


前述のように市販されている熟成酒あるいは古酒と呼ばれる日本酒は1年~10年程度でかなり幅広くなっています。目安としては3年で、3年熟成の日本酒を販売しているケースが多いのが現状です。また熟成酒を購入する際のポイントは、熟成年数が上がってくるほど値段も上がるということです。蔵で丁寧に貯蔵された分、その味わいは上品でなめらかな味わいになっています。

 

熟成する具合の温度や味わいの変化の仕組みを考えると自宅で熟成させる場合には温度のコントロールの仕方次第でかなり大きな違いが生じます。長期的に取り組まなければならないので、お気に入りの日本酒があるなら何本か購入してまとめて熟成を始め、1年、2年、3年という形で様子を見ながら開けて飲んでみるのも良いでしょう。その際は1年経って飲んだときの味と、3年経って飲んだときの味を忘れないようにメモをしておきましょう。

 

まとめ

今回は、 日本酒の熟成について徹底解説!熟成期間は?香りは?というテーマで、保管方法や香りなどに触れました。

 

ご自宅にある古酒を飲みながら、または買ってきて読んでみてくださいね。

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