フルーティーな日本酒を徹底解説

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みなさん、こんにちは!

日本酒講座も第5回を迎えることができました。

前半4回は日本酒の一般常識と言われる「辛口は美味しい」や「本醸造酒は飲まない」という固定されたイメージを持っている方に対して、少しでも美味しさを知ってもらい、イメージが変わるように「日本酒の美味しさ」を分解していきました。

こういったテーマに焦点を当てたのは、正しい知識や奥深さを知ることで今まで避けていたお酒との出会いを果たしてもらえたら嬉しいという想いからでした。

第5回からは代表的とされる日本酒を大雑把に以下の4タイプに分類し、味わいの感じ方や楽しみ方を紹介していきます。

・ フルーティー(←イマココ)

・ 軽快でスッキリ

・米のうま味

・ 熟成酒

どのように飲んでいけば良いかがわかるようになっているはずです!

それでは早速進めていきましょう!

まずはじめに、第5回から8回にかけて4つのタイプの日本酒を取り上げますが、どのタイプにおいても次の項目について紹介していきます。

基本的な構成

  • 香りと味わい
  • 適切な温度帯
  • 食べ合わせ

[科学的/経験論]な根拠

  • なぜこのような香りになるのか
  • なぜこの味わいになるのか
  • なぜこの料理と合わせるのか
  • なぜこの温度で飲むと更に美味しいのか

上記の項目を取り上げるのは、日本酒の発酵経路から考察できる化学的な根拠を示すことで、本質からそのお酒を理解できるようになるからです。

今回はフルーティーなお酒について。香りから紹介していきましょう!

【香り】リンゴやバナナみたいにフルーティー!!

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バナナの香りが特徴的な「NOTO」ふくよかな印象です

日本酒の香りは代表的なものだけで10種類、人間では拾えないものも含めると388種類は超えると言われています。

例としては

[果実]リンゴ・バナナ

[原料]お米・麹

[乳製品]ヨーグルト・サワークリーム

[重厚]樹脂・玄米

[熟成]シロップ・カラメル

など様々が挙げられますが「フルーティー」タイプのお酒では、

どの香りが主体になるのでしょうか?

それは、「果実の香り」です。

この香りが主体となる一番の大きな理由は、

「酵母」によるものです。

第3回の講座でもお伝えしましたが、酵母は低温で発酵を進めるとストレスを感じ、副産物のような形で香りを出してくれます。

香りを出す酵母は「カプロン酸エチル高生産酵母」と言います。業界内ではカプロン酸エチルのことを「カプ」と省略することが多いですね。 またバナナの香りに例えられる「酢酸イソアミル」も合わせて二大果実香として認識されています。

この酵母のおかげで、とてもフルーティーな香りを感じることができます。

saketakuでも取り扱わせていただいたフルーティーな日本酒たち

・旭鶴 大吟醸

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華やかな香りの大吟醸酒。

使用酵母は「M310号」です。M310のコラムについてのコラムは以下をごらんください

 

M310号の話をする上できょうかい10号酵母の話は欠かせません。1977年から日本醸造協会より頒布されているきょうかい10号酵母。別名、明利小川酵母とも呼ばれます。茨城県は明利酒類株式会社の小川知可良博士が開発したためです。博士は仙台国税局鑑定官室長も務め、多くの蔵へ足を運び未来の杜氏に酒造技術の指導をしました。 そのきょうかい10号酵母を突然変異させたものがM310酵母。1995年より全国の酒蔵が購入できるようになります。酵母の性質は、華やかな香りを多く生成すること。カプロン酸エチル高生産酵母の1種です。きょうかい1801酵母も挙げられますがM310酵母の方が若干香りの出方が弱く、きょうかい1801酵母の方が味わいが軽快で綺麗に出やすいと言われています。

 

実際に皆さんのもとへお酒と一緒にお届けした鑑定書をチラ見せ!

鑑定書についての詳細は「酒蔵コンサルタント監修-日本酒の鑑定書」で詳しく解説しています!

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saketakuでご好評いただいているソムリエがコメントした「日本酒の鑑定書」

・女城主 大吟醸

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もやし屋さんが開発したフルーティーな酵母を使った大吟醸酒。

使用酵母は「秋田今野 No.24号」の解説はこちら↓

秋田今野 No.24という杜氏も唸らせる酵母。本酵母は、味噌や醤油などの醸造物の微生物スターターメーカーである秋田今野商店が販売しています。華やかな香り(カプロン酸エチル)を生産しやすいことが特徴で、近年使用する蔵が増えています。しかしこれらの酵母にも弱点はあります。弱点とは、熟成が進んだ際に、香りと共に味わいのバランスも崩れてしまうことです。その弱点を克服するために、「酸味」を多少出しやすくしているのが本酵母です。酸味の中でも、爽やかな呈味を感じやすいリンゴ酸を多く生成することで、シャープな印象を与えることができ、華やかな香りと共に軽快な味わいを感じやすくなっています。味わいに多くの影響を与える酵母。奥が深いですね。

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日本酒の香りや味わいペアリングなどの楽しみ方を解説しています!

など。

なぜこの香りが生成されるかは、とても細かいプロセスが存在しますのでたのしい日本酒講座の第12回をごらんください!

【味わい】甘味と旨味が主役の日本酒

このタイプのお酒は大吟醸酒や吟醸酒に多く、お米をたくさん削っているので米の外側に含まれるアミノ酸由来の複雑味を感じることが少ないです。

つまり甘味や旨味を感じることが多いです。

その中で酸味・苦味・渋味の存在と量によって「キレ」と呼んでいる飲み込んだ後の口中のさっぱり度合いが変わります。

【温度帯】冷蔵庫から出してすぐ、もしくは15分後くらいが良いでしょう!

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何倍にもその日本酒が楽しくなるグラス。フルーティーな香りも感じやすくなります

お酒の甘さの強弱は約35度をピークに増し、下がるほど感じづらくなっています。

香りも同様、低ければ香りが閉じ、上がってくるほど香りをはっきりと感じるようになります。

この前提を元にオススメの酒器を考えていくと、

フルーティーな香りを楽しむことができて、かつ温度が下がりづらいもの。

ワイングラス。

温度帯は冷蔵庫から出して注ぐと、おおよそ10度になります。

15度までは甘味が増しずらいですが、20度まで上がれば甘味をはっきりと感じることができ味わいのバランスも変化します。

したがって、すっきりとしたフルーティーなお酒であれば

冷蔵庫から出してから15分ほどで1杯を飲みきれると、お酒の良さを最大限に感じながら楽しむことができるでしょう。

【食べ合わせ】1杯目として特に良い日本酒です

今回はフルーティーなお酒とのペアリングなので、味わいを再度確認します。

リンゴの香りが主体となり、甘味が特に豊富。キレははっきりと感じづらい。

飲む温度帯は8〜15度。

この時に合う料理の味の特徴として、

  • 香りが全体的に抑えられたもの
  • 爽やかさを連想させる香り(ゆずなどの柑橘類など)
  • 甘味が弱く素材由来の優しくも甘味や旨味の凝縮感を感じることができるもの(野菜や各種魚など)
  • 若干の苦味を含んでいるもの(甘味と組み合わせることで、味わいに深みがでます)

などが挙げられます。

これらの要素を元におつまみや注文をするとお酒と食事を一緒に楽しめます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

フルーティーな日本酒は一杯目として、もしくは前菜が特に合わせやすいことは理解いただけましたか?

簡単にフルーティーなお酒についてまとめると、

  • 「フルーティー」とは、果実のような香りを指す
  • 素材由来の味を感じられる料理と合わせるのが良い
  • 飲む温度は冷蔵庫から出して15分まで
  • 器はワイングラスで飲むと良い

でした。

次回は日本酒といえば新潟!の代表格とも言える「淡麗辛口」についてです。

新潟でしか造ることができないのか。なぜすっきりと感じられるのか。

などのイメージについて分解していきますよ!

次回もお楽しみに〜!

「楽しい日本酒講座・全12回」の目次

あなたの常識をぶった切る、日本酒の本当のはなし。

  1. 日本酒の原料について徹底解説
  2. 脱「新潟の美味しい辛口のお酒ください」のススメ
  3. 「日本酒なら大吟醸!おいしいよね。」そんなあなた、損してます。
  4. 安くて美味しい本醸造、教えます。

    「美味しい」と感じる、日本酒の味を分解してみよう。

  5. フルーティな日本酒を徹底解説(←イマココ) 
  6. 軽快な日本酒を徹底解説
  7. 米の旨味がはっきりしている日本酒を徹底解説
  8. 濃厚で熟成した日本酒の徹底解説

    ようこそ、日本酒のディープな世界へ!初心者卒業までの最後の一歩。

  9. 日本酒のマリアージュの世界へようこそ!
  10. 「山田錦」の味わいや特徴について徹底解説!
  11. 新潟「淡麗辛口」の日本酒とは。知ると日本酒がたのしくなる!
  12. 日本酒歴長い人も実は分かってない。酵母や麹の本当のはなし。
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