フルーティーな日本酒について徹底解説!味わいは?どうやって造るの?

フルーティーな日本酒について徹底解説!味わいは?どうやって造るの?|saketaku

 


フルーティな味の日本酒

 

淡麗辛口や濃醇甘口などの伝統的な酒造りにおける味や香り、旨味のあり方とは異なる方向性での酒造りが活発に行われるようになってきました。フルーティな味の日本酒はその代表例で、ほんの十年にも満たない間にたくさんの銘柄が登場してきています。

 

従来の日本酒を楽しんできた人にとってはフルーティな味とはどういうものかと疑問に思うかもしれません。フルーティな味の日本酒とはバナナや梨、マンゴーやパイナップル、リンゴやグレープフルーツなどの様々なフルーツ風の香りが立ち、甘味や酸味、苦みのバランスが果物のような感じを思わせる仕上がりになっているものを指します。必ずしも甘口になっているとは限りませんが、全体としては辛口よりも甘口の日本酒が多いのも特徴です。


また、フルーティな味に共通しているのが後味がすっきりとしていてくどさがないことです。甘口でまろやかであってもほどよくキレるという点ですいすい飲めてしまうのが一般的です。

 

なぜ飲みやすい日本酒が多いかと言えば、フルーティーな香りを感じるためには精米歩合が低いほうが良いからです。精米歩合由来でアミノ酸が増えたり、タンパク質が多いためにフルーティーさをしのぐほど他の香りが入ってきたりします。

 

銘柄によってどのような香りのバランスになっているかは異なりますが、華やかな香りを最初から最後まで楽しめるようにできているのも多くの銘柄に共通する特徴でしょう。このように米の味と香りを引き立たせるような酒造りとは対照的に、米からどうやってこんな果物のような香りや味ができたのかと驚くような日本酒が醸されています。

 

ここ最近人気になっているフルーティーな日本酒も味わいが様々あるので、ぜひいろいろ挑戦してみてくださいね。

 

フルーティな味の日本酒の造り方

 

フルーティな味の日本酒は作り方に特徴があります。流通している銘柄を見てみると多くが吟醸酒または純米吟醸酒になっていて、若干数の大吟醸酒、純米大吟醸酒が見られる程度です。特に特定名称がつけられていない場合もありますが、一般的には吟醸造りをしているのがフルーティな味の日本酒の特色となっています。

 

吟醸造りとは発酵の際に低い温度で長時間発酵させる方法で、10度くらいの温度で保ちながら数週間かけでじっくりと醸します。吟醸造りは酒造りにおける伝統的な技術の一つで、吟醸酒や純米吟醸酒などに華やかな吟醸香を立たせるために用いられてきています。その技術を応用することによって上手に薫り高い日本酒を造り上げているのです。


吟醸酒はフルーティな味の日本酒としては特に多いもので、醸造アルコールを使うことによりさらに香りを引き出しています。醸造アルコールを添加することによってもろみの中に含まれている香りの成分を溶かし出しやすくなるからです。

 

さらに甘口に仕上げた日本酒に醸造アルコールを入れると味が引き締まってキレが良くなります。このバランスを取って飲みやすく仕上げるのにも醸造アルコールを有効活用できるのです。フルーティな味にするときには完成度を高めやすいという点で醸造アルコールを使う作り方がよく選ばれています。

 

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女性に人気?フルーティーな日本酒

 

近年になってフルーティーな味の日本酒が急速に作られるようになってきたのには理由があります。若い世代を中心としてアルコール離れが進み、特に度数の高い日本酒は敬遠されるようになってきていました。その状況を改善して消費を促していくことは酒造としては死活問題です。若い世代に好まれる酒造りをしようという発想で様々な試みがなされてきました。その中の一つとして挙がったのが女性をターゲットにするフルーティーな味の日本酒造りです。

 

若い世代の女性はサワーやカクテルなどのフルーツジュースを使ったお酒を好む傾向があります。甘口のワインを好む人も多かったことから、同じタイプの日本酒を作ることができればシェアを取れるのではないかという発想が生まれました。


このような動きによって甘口でフルーティな日本酒が次々に生み出されてきました。香りのバリエーションも豊かになり、好んで日本酒を飲む女性も増えてきています。その流れの中でフルーティでもドライなカクテルが好きな人も多いことに着目し、フルーティで辛口な日本酒も作られるようになりました。アルコール度数が高いのが気になる女性のために低アルコールに仕上げた日本酒も登場しています。このような形で消費者視点での日本酒開発を進めてきた結果として生み出されたのがフルーティな味の日本酒なのです。

 

なぜフルーティーな日本酒ができるの?

 

なぜ日本酒をフルーティな味にできるのかと疑問に思う人もいるでしょう。ただ単純に吟醸造りをしただけではフルーティな味になるわけではありません。フルーティに感じるのはなぜなのかというは既に説明した通りで、基本的にはよく知られている果物を連想させるフルーティな香りが前面に出ていて、かつ甘味や酸味のバランスが整っているからです。これは酒蔵の努力によって生み出されてきたもので、基本的には米の種類や精米歩合を考慮しつつ、使用する酵母を厳選することによって実現されています。


まず、フルーティな日本酒の多くは精米歩合が60%以下になっています。米の外側にはタンパク質や脂質が多く含まれているからです。すっきりとしたフルーツジュースのような香りや風味を生み出すには酸味や苦味を抑える必要があるのです。次に重要なのが酵母の選択で、明らかにフルーティーな日本酒には他の日本酒とは違う酵母を用いているのが普通です。最近ではワイン酵母を用いて醸している日本酒もあり、やはり吟醸造りをして醸造アルコールを使うことにより香りを引き出しています。酵母の種類によってどんな香りの成分を作るかが異なります。

 

酸味の原因になる乳酸・コハク酸・リンゴ酸・クエン酸などの有機酸を作る量も酵母によって性質が違うので、米の性質と合わせて考えて試行錯誤を重ねてきました。その試行錯誤の結果が生み出したのがフルーティーな日本酒なのです。

 

フルーティーな日本酒にあうつまみは?

 

フルーティな味の日本酒にはどのようなおつまみが合うのかが想像できない人もいるでしょう。基本的にはワインと似た発想で考えてみるとよく合うおつまみが見つかります。フルーティな香りは生臭い香りを助長してしまうことがあるので、お刺身などの生ものとはあまり合わない場合が多いでしょう。

 

チーズはスモークしていなくても合うので魅力的な候補です。また、アジのエスカベッシュやニンジンのマリネのように酸味のあるものもフルーティな香りとよく合います。ピクルス、生姜やみょうがなどの甘酢漬けもおすすめです。味わいが濃すぎないものを選ぶことがポイントです。


肉や魚を食べたいというときにも酸味や香味を利かせた料理にするとフルーティさと上手くマッチします。鮭や白身魚などの淡白な魚をハーブやキノコと一緒にホイル焼きにしたり、焼き鳥をハーブ塩で食べたりシソを添えたりすると良いでしょう。

 

欧米風に鶏肉や牛肉の薄切りを焼いてブルーベリーソースなどのフルーツを使ったソースで仕上げるのも良い方法です。素材の組み合わせと風味のつけ方次第で色々な料理を合わせられるので、日本酒の個性を考慮しながらよりおいしい料理を目指してみましょう。

 

今回は、フルーティーな日本酒について徹底解説!味わいは?どうやって造るの?というテーマで、フルーティーな日本酒にあうおつまみなどに触れました。

 

ぜひ一度フルーティーな日本酒を飲みながら、再度読んでみてくださいね。

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