日本酒の純米酒、純米大吟醸酒は常温で保存できる?
日本酒の純米酒も純米大吟醸酒も火入れをしてあるものであれば常温で保存することができます。純米酒も純米大吟醸酒も保存の仕方の基本は共通しているので区別する必要はありません。ただし「吟醸」と名がつくお酒は、香り成分の揮発を極力抑えるためにも20度以下での保存がオススメです。
日本酒の味が変化してしまう原因は空気中に含まれている酸素による酸化、太陽光の持つ紫外線、加温による成分の変化が主です。
冷暗所に保存すれば年単位で保存することができますが、光が当たる可能性があるなら新聞紙などで包んでおきましょう。夏場は高温になる場所を避けるようにして、温度が低い冷蔵庫に入れるのが適切です。
火入れをしていない生酒は20度以上で置いておくと生酒特有の物質が揮発するなどで変化するので冷蔵保存が必要です。火入れをすると酵素が失活するなど、保存性を高める効果があります。
火入れをしていない生酒を常温で一日置いてしまったら、残念ですが味は変わってしまうでしょう。長期保存はできないと考えるのが適切です。しかし、生酒をあえて常温で保存する酒蔵やマニアの方も中にはいらっしゃいます。嗜好性の問題もありますが、自分の好みに近づくために常温で保存するかた。常温で保管したほうが味の乗りが良くなるという考え方で常温保存する酒蔵もあります。
話は逸れましたが、日本酒の中には一度火入れや生貯蔵というものもあります。通常は瓶に詰めた後と出荷前に火入れをしますが、そのうち一回しかしていないものを指します。この場合にも基本的には冷暗所での常温保存ができますが、心配な場合には冷蔵庫に入れておくようにしましょう。
日本酒の純米酒、味の違いは?
純米酒は他の特定名称を持っている日本酒とどのように味が違うのでしょうか。純米酒は米と米麹と水だけで作られていて醸造アルコールが使われていないのが特徴で、精米歩合については特に決まりがありません。
醸造アルコールを使っていないので本醸造酒や特別本醸造酒に比べて米の旨味が生きているのが特徴で、ふんわりとした柔らかな味わいを出しやすいでしょう。
香りについても穏やかでふくよかになるのが一般的です。飲み飽きしにくい仕上がりになる傾向が強いのは純米酒の味の魅力でしょう。
一方、純米吟醸酒や純米大吟醸酒の場合は米をもっと削り、吟醸造りをしているので純米酒とは香りが異なります。通常は純米酒よりも純米吟醸酒、純米吟醸酒よりも純米大吟醸酒の方が華やかな香りと豊かな甘みを感じられるように仕上がります。
吟醸酒や大吟醸酒の場合にはそれぞれ純米吟醸酒、純米大吟醸酒と同じ造りで醸造アルコールを使用するのか、しないのかという違いです。醸造アルコールを添加するとスッキリした印象に早変わり。香りが豊かになります。結果として純米酒よりもやや甘みを帯びていて辛口の刺激も強く、香りも芳醇です。どれが優れているというわけではないですが、総合的に見ると純米酒は味も香りも穏やかで万人受けしやすく、毎日飲んでいても楽しめるような出来栄えになっているとわかります。日本酒が初めての人でも親しみやすい仕上がりなのは純米酒の魅力でしょう。
大吟醸と純米大吟醸、どちらが美味しいの?
大吟醸と純米大吟醸ではどちらが美味しいのかというのはよく話題になる点ですが、どちらにも魅力があるので甲乙つけがたいものだと考えるのが適切です。好みによる違いや銘柄による違いもかなり大きいので、一概にどちらが優れていると言うことはできません。
大吟醸と純米大吟醸の酒造り上の違いは基本的には醸造アルコールの有無です。純米大吟醸の場合には醸造アルコールを使わないので甘みや香りが穏やかに広がり、若干の味の濃さと優しい心地良さがあるのが魅力でしょう。
このような特性も大吟醸は持っていますが、醸造アルコールを加えることで辛口のきりりとした感じが生み出され、さらに酵母によって生み出されたフルーティーな吟醸香が強く引き立つことになります。
フルーティーな香りは人の嗅覚に訴えかけて自然と甘みが強いような印象を与えます。そのため、糖度はそれほど高くなくても甘くて飲みやすく、しかも辛さがあるので後味もすっきりという感じになるのが一般的です。
香り高さを代表とする主張が強い日本酒が好きな人にとっては大吟醸の方が好みが合う場合が多いでしょう。穏やかでほんのり甘みがあり、主張しないおいしさを感じられる日本酒が良いという人には純米大吟醸の方が魅力的な銘柄に出会える可能性が高いと考えられます。
どちらも選り好みせずに飲んでみるのが最も大切な考え方です。
日本酒の純米酒は甘口?辛口?
日本酒が甘口か辛口かは日本酒度を指標にして評価されるのが一般的ですが、純米酒の場合には甘口と辛口のどちらに仕上がるのでしょうか。
結論から言えば、使用している酵母、麹の種類によって大きな違いがあるため、甘口も辛口も作り分けることができます。ただ、全体的な傾向としては中間値である日本酒度が±0近辺の仕上がりになっている銘柄が多くなっています。
純米酒は実際にはほんのりと米の甘みを感じられる日本酒になる場合がほとんどです。辛口かどうかは酵母や麹の造り次第ですが、水のような淡麗な酒というよりは甘みを帯びた旨味を感じやすいでしょう。
このようにして考えると日本酒の純米酒は甘口が好きな人にも、辛口が好きな人にも魅力的な銘柄を見つけられる可能性があると言えます。米の甘さを引き出した純米酒は甘口好きに、精米歩合を押さえて甘さを控えつつ辛口に仕上げた純米酒は辛口好きに合います。米の甘さや旨味が好きな人なら楽しめる日本酒と考えると良いでしょう。
純米酒のおいしい飲み方
純米酒をおいしく飲むためには自分なりのおいしさを見極めるために飲み方の工夫をするのが大切です。穏やかに仕上がっている純米酒を飲む場合、フルーティーな純米大吟醸を良く飲む方からすると甘みや旨味がじわじわと押し寄せて、大吟醸の華やかな香りを堪能しきれないことがあるでしょう。
常温からぬる燗、あるいは熱燗にしてみるとだんだんと香りが立ち、やや辛口になってキレが良くなるでしょう。日本酒にあまり慣れていない人の場合には冷酒で飲むと飲みやすくわかりやすいでしょう。
それでも刺激が強いと感じる場合にはロックや炭酸水で1対1に割って飲んでも問題はありません。冷たい方が香りも刺激も穏やかになり、米の旨味が感じられてすっきりとした味わいになります。
また、酒器についてもこだわってみましょう。紙カップ酒の純米酒も流通するようになっていて気軽に飲めるようになっていますが、紙カップでストローで飲むと香りをさらに抑えることになります。しかし、せっかく日本酒を嗜むのであれば、ガラスでもコップでも酒器に移して飲むと、より晩酌の雰囲気がアップします。
逆に香りが穏やか過ぎて物足りないという場合には、赤ワイン用のワイングラスを使うのが良い方法です。香りをグラス内に貯め込み、飲むときに香るように工夫されているからです。この他にもお猪口や大吟醸グラスなど、酒器によってかなり違いが生じるので色々なものを試してみましょう。
まとめ
今回は、日本酒の純米酒について徹底解説!味わいの違いは?常温で保存できる?というテーマで、味わいなどの違いなどに触れました。
ぜひもう一度飲みながら、読んでみてくださいね。