日本酒度のプラスマイナスの意味
「日本酒度」とは、大きく分けると日本酒の甘口、辛口の度合いを表す指標です。その日本酒が甘口か辛口かを決めるひとつの指標が糖の濃度で、日本酒度はこの糖の濃度を示しているのです。日本酒度はプラスマイナスで示されますが、これは水の比重をゼロとして計算しています。糖分が多ければ多いほど数値はマイナスになり、逆に糖分が少なければ数値はプラスになります。
当然糖分が多く含まれていれば甘く感じるので、日本酒度がマイナス値のものは甘口、プラス値のものは辛口と分類されることになります。一般的に甘口と評価されるのはマイナス3~5度程度の日本酒です。それよりも甘いものになるとマイナス5~10程度、もっと甘いものだと-50程度になります。辛口の場合はプラス3~5のものが一般的で、プラス5~10、プラス20くらいの日本酒もあったりします。
日本酒度はなぜプラスマイナスで示すの?
日本酒度の計測には「日本酒度計」という計測器を用います。温度を15度にした日本酒をシリンダーに入れ、そこに日本酒度計を浮かべます。日本酒度計は比重計で、4度の純水な水と同じ重さの日本酒の場合は比重1となり、日本酒度はプラスマイナス0になります。
容器の中の日本酒が水より重ければ日本酒度計は浮き上がり、数値はマイナスを指します。反対に水よりも軽ければ沈んで数値はプラスを指すのです。これは糖は水よりも重く、アルコールが水より軽いために起こる現象です。
日本酒は米が麹菌の力によって分解されて糖になり、糖が酵母の働きによってアルコールに変わることで出来上がります。つまり糖が多ければアルコールが少ないためにその日本酒は重くなり、逆に糖が少なければアルコールが多くなって軽くなります。
重ければ数値はマイナスで甘口、軽ければプラスで辛口と評されるのです。これが日本酒度のプラスマイナスの意味です。
日本酒度は甘口、辛口を判断するための指標ですが、それだけで日本酒の味を判断できるわけではありません。
日本酒度意外にも甘味を持っている指標があります。それはアルコール度数とアミノ酸度です。日本酒度がプラスだったとしても、甘く感じるお酒は多く存在します。この現象が「辛口なのに甘口みたい」と感じるゆえんかもしれません。
また酸度も日本酒の味わいをシャープにするか、ソフトにするかを切り分けてくれます。味わいだけでなく香りによって味の感じ方が変わることも珍しくありません。そもそも味の感じ方は人それぞれ。
そのときの体調や一緒に食べた料理などによっても変わってくるため、あくまで判断材料の一つに留めておきましょう。
日本酒のアルコール度数とは
お酒と謳う上で欠かせない指標がアルコール濃度です。一般的な日本酒のアルコール濃度は15度ですが、最近は16度の日本酒が増えてきています。なぜかと言えば、私たち消費者が凝縮感がある味わいを求めているからです。
私たちが欲する味とは誤解を恐れずに言えば、淡麗辛口ではなく甘口や旨口といった飲みごたえのある味わいが求められているように感じます。
アルコール度数の役割は甘味、苦味、刺激を与えることです。後述するどの指標よりも受ける影響が大きいです。つまり、味わいのベースを作るのがアルコール度数と理解することができます。
アルコール度数が高ければ高くなるほど香りが濃くなります。そして甘味、苦味、刺激も強くなります。アルコールが17度以上の原酒と謳われる日本酒は特にその傾向が強いでしょう。
低アルコールの日本酒も近年増えており、その味わいは非常に飲みやすいものが多くなっています。特に味わいの傾向としては甘ずっぱい酒質のものが多く、日本酒に飲み慣れていない方にもオススメできるタイプです。
日本酒のアミノ酸度とは
アミノ酸度は読んで字の如く、その日本酒に含まれるアミノ酸の量を表しています。アミノ酸はうま味やコクを生み出す要素なので、このアミノ酸度が高ければ高いほど日本酒は濃厚で芳醇な味わいになり、コクも深くなります。
ただ高ければ高いだけ良いという訳ではありません。アミノ酸度が低いお酒は、逆にあっさりと淡泊な味になるのです。一般の日本酒のアミノ酸度は1.2前後ほどなので、ここを基準に選ぶといいでしょう。
日本酒には約20種類のアミノ酸が含まれています。主にはグルタミン酸ナトリウムがありますが、これこそが人間が「うま味」と感じる味の元になる成分です。グルタミン酸ナトリウムの持つうま味成分が他の甘味や酸味とバランス良く合わさることで、日本酒の美味しさを作り出しているのです。
また、アミノ酸の種類によってはうま味だけではなく甘味や苦味を日本酒に加えているものもあります。例えばプロリンは、強い甘味と苦味の両方を兼ね備えているアミノ酸ですし、アルギニンは苦味の強い種類です。こうした多様なアミノ酸が組み合わさることで、日本酒の味を形成しています。
日本酒の酸度
「酸度」も、日本酒の味わいを数値化するための指標です。日本酒に含まれる酸の量を表したものです。日本酒にはコハク酸、リンゴ酸、乳酸といった酸が含まれており、これらは醪中に多く生成されます。
コハク酸はうま味にも関係する酸ですが、多く含まれていると逆にえぐみになってしまいます。低温では苦味が出るものの、人肌燗かぬる燗にするとまろやかになるという特徴があります。
リンゴ酸は読んで字の通り、果物のような爽やかさを持つ酸です。日本酒に含まれているリンゴ酸は酵母が生成しており、お酒に爽やかさを出しますが、量は少なめです。
乳酸は低温では刺激が強くなりますが、温度を上げるとまろやかになります。
このように酸の種類によって特徴が異なるため、酸の多い少ないだけではなく、どの酸が多いかによっても日本酒の味わいは変化するのです。
酸が多く含まれていると酸っぱくなる、というイメージがありますが、日本酒の場合は酸度が高いとキレが増して辛口に、逆に低いと甘口に感じるようになります。これは酸度が高いと甘味が打ち消されるからです。
日本酒全体の酸度の平均値は1.0~1.5ほどなので、目安として自分の好みの数値を覚えておくといいでしょう。ただし酸度だけで甘さや辛さを決めることはできないので、あくまで一つの指標として捉えておきましょう。
日本酒の味のタイプ?
日本酒の最終的な味わいは、アルコール度、日本酒度、酸度、アミノ酸度の組み合わせによって決まります。それぞれ組み合わさることで大きく「淡麗甘口」「淡麗辛口」「濃醇甘口」「濃醇辛口」の4つに分類することができるのです。
参考程度とはなりますが、味わいの傾向も書いてみたので見てみてください!
「淡麗」とは、味や口当たりがスッキリ滑らかなことを表します。「淡麗甘口」はアルコール度と日本酒度と酸度、アミノ酸度の全てが低いタイプです。すっきりとした飲み口で口当たりも柔らかいです。
「淡麗辛口」はアルコール度が低め、日本酒度と酸度が高く、アミノ酸度が低い組み合わせ。すっきりかつキリッとした風味で、口当たりも滑らかです。
口当たりや味がどっしりしてる様子は「濃醇」と言います。「濃醇甘口」はアルコール度が高め、日本酒度が低く、酸度とアミノ酸度が高いタイプです。どっしりとしたコクと豊かな甘味が特徴で、かなり飲み応えがあります。ボリューミーな日本酒が好きだという人はこの濃醇甘口がおすすめです。
「濃醇辛口」はアルコール度が高め、日本酒度と酸度の両方が高くアミノ酸度が低いタイプのお酒です。
まとめ
今回は、日本酒でプラスの意味とは?アミノ酸度や意味について徹底解説!というテーマで、日本酒度などに触れました。
ぜひもう一度飲みながら、読んでみてくださいね。