岐阜 女城主 大吟醸酒の味わいや香りを解説

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総評

まさに大吟醸らしい、カプロン酸エチル由来の香りとそのスマートなバランス感の上に立脚する、ある種都会的とも言える綺麗な印象のお酒です。非常によくまとまっています。岐阜のお酒は重さ、厚みのある印象のお酒が多い中、また、この硬度の水を使いつつ、この綺麗な印象を作り出せる蔵人さんたちの技術力に脱帽です。

特徴的な香り

まず、リンゴやメロンなどの丸みを帯びた甘味のある果実の香りと共にバナナの印象も見て取れます。かなりカプロン酸エチルを感じる香りの構成です。それはカプロン酸エチルになる直前のカプロン酸という物質が「ミルキー」な香りを感じやすく、結果として乳製品系の生クリームを取っていることも一つの証左といえます。また、笹の葉などの清涼感のある香りも感じます。原材料の香りは取れるものの、非常に遠い印象です。

味わい

滑らかに入って来ながら、甘味は優しく感じます。アルコール添加によるスムース感も手伝い、程よい甘さと言える印象です。大吟醸であることを考えても、なかなか長い余韻を感じます。アミノ酸が少ないながら、なかなか引っ張ってくれる印象を持ちます。

ペアリング

軽やかでバランス感のある大吟醸ゆえ、あまりペアリングを考えず食前酒としても楽しめる印象ではありますが、そのタイミングでフレッシュなフルーツトマト、又はパプリカのマリネなどは好印象です。同じ印象の香りのお野菜と合わせていきたいイメージです。また、甘エビを使ったカクテル仕立て(マリネ的)も好相性でしょう。

温度帯

このタイプのお酒は、あまり温度を室温付近にまで持ってこないようにしたいです。甘味が消えない、酸味とのバランスの取れる温度帯となると、やはり8〜12度あたりで楽しみたいです。

特別コラム

秋田今野 No.24という「杜氏も唸らせる酵母」について解説していきます。この酵母は、味噌や醤油などの醸造物の微生物スターターメーカーである秋田今野商店が販売しています。華やかな香り(カプロン酸エチル)を生産しやすいことが特徴で、近年使用する蔵が増えています。しかしこれらの酵母にも弱点はあります。弱点とは、熟成が進んだ際に、香りと共に味わいのバランスも崩れてしまうことです。その弱点を克服するために、「酸味」を多少出しやすくしているのが本酵母です。酸味の中でも、爽やかな呈味を感じやすいリンゴ酸を多く生成することで、シャープな印象を与えることができ、華やかな香りと共に軽快な味わいを感じやすくなっています。味わいに多くの影響を与える酵母。奥が深いですね。

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