「醸造酒・蒸留酒」の違いと発酵方法について

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2021/01/22更新

 

今回は、醸造酒と蒸留酒についてお話したいと思います。

みなさんは、最初の一杯目は何を飲んでいますか?
やはり一杯目はビールでしょうか。

最近だとハイボール(ウイスキーソーダ割り)も流行っていますね。

サケタク会員さまの中には最初から日本酒!という方が多くいらっしゃいますが、
日本酒で始まる飲み会はまだまだ世間では少数派です。
乾杯用のスパークリング日本酒なども増えていますので、
「乾杯は日本酒」をどんどん増やしていきたいですね!

さて、今回のテーマの醸造酒と蒸留酒を始める前に、
ひとつクイズを出します。
日本酒、ビール、ハイボール(ウイスキー)の中に一つ蒸留酒があります。
どれが蒸留酒かお分かりですか?また違いは一体何なのでしょう。
答えはこの続きを読んでいただくと分かるようになりますよ!

 

醸造酒と蒸留酒

お酒は大きく分けて「醸造酒」と「蒸留酒」の2つに分類されます。

醸造酒

醸造酒とは、

穀物などを原料とし、酵母によってアルコール発酵をさせたものが醸造酒です。 醸造酒には、日本酒、ワイン、ビールなどがあります。

日本酒の場合は、麹を使いデンプンを糖化させた後、酵母によってアルコール発酵させています。 また、ワインの場合は元々ブドウに含まれる糖によって発酵を行っています。

醸造酒は、大きく分けて単発酵酒と複発酵酒に分けられており、 複発酵酒は、さらに単行複発酵酒と並行複発酵酒に分けられています。

蒸留酒

蒸留酒とは、

醸造酒を蒸留してつくられたお酒です。 (※蒸留…液体を加熱し、沸点の差を利用し蒸発した気体を集め、冷やして精製や分離を行う操作)

蒸留酒はスピリッツ(spirit)とも呼ばれ、本格焼酎、ウイスキー、ブランデーなどがこちらに分類されます。 アルコ一ル7%の醸造酒から、アルコール40%以上の蒸留酒を得る事も可能となります。

日本酒を蒸留したものは米焼酎、ビールのようなもの蒸留したものはウイスキー、ワインを蒸留したものがブランデーになります。

また、世界各地には地域に応じた様々な蒸留酒が存在しています。 北欧では「アクワァビット」(aquavit)、 イギリスでは「ウィスキー」(whisky)、ブランデー(Brandy) ロシアでは「ウォッカ」(vodka)、 ドイツでは「ブラントヴァイン」(Brantwein) 日本の「焼酎」は、「焼いた酒」という意味で名づけられました。

醸造酒と蒸留酒にはこのような違いがあるんですね。 普段口にするお酒の製法について知っていると味わいの特徴なども楽しめると思いますので、ぜひ興味をもっていただければと思います。

醸造酒の3つの発酵方法

醸造酒には3つの発酵方式があります。 (大きく分けると単発酵と複発酵の2つ)

単発酵(ワイン): 果実などの元々のブドウ糖を酵母がアルコール発酵
単行複発酵(ビール): デンプン質を糖化し、その糖を酵母がアルコール発酵
並行複発酵(日本酒): 糖化とアルコール発酵が同じ容器の中で同時進行

このように分かれています。

それでは、それぞれの特徴を詳しく見てみましょう!

単発酵

「単発酵」とは、ブドウ糖が多量に含まれている原料を使うことで、糖化を行わず、酵母を加えるだけでアルコールへと発酵させる発酵形式のこと。ブドウを原料として発酵させる「ワイン」がその中でもよく知られています。(「単体で発酵する」という意味合いから、単発酵といわれています)

単行複発酵

日本酒やビールの原料は米や麦などデンプン質なので、アルコールを生成するための大事な要素「糖分」がありません。そのため、デンプンをブドウ糖へと分解する工程(糖化)をまず行い、それによって生まれたブドウ糖を、酵母の活動によりアルコール発酵させます。これが「単行複発酵」と呼ばれます。(複数の工程を順番に行う)この単行複発酵は、麦などの原料を麦芽の糖化酵素で分解して麦汁をつくって、麦汁をつかって発酵させる「ビール」が典型的です。実は、高温糖化酒母も、初期に糖化させてから発酵させるので、ある意味の単行複発酵とも言えます。(高温糖化酒母については、また後日詳しくご説明しますね♪)

並行複発酵

いよいよ、日本酒の登場です。

日本酒は、単行複発酵よりちょっと複雑な発酵形式をとります。が米のデンプン質を分解し糖化させ、それと同時に、酵母が発酵を進行させることから「並行複発酵」と呼ばれています。この工程が、日本酒の持つまろやかさと深い味わいを醸し出す元となっています。(それぞれが並行して同時に進行していく発酵)

ちなみに、日本酒の並行複発酵はとても繊細で難しく、世界的な発酵法の中でも、最も高度な技術であると注目されています。

三段仕込みによる絶妙な発酵バランスで醸された日本酒のアルコール度数は、実は他のどのお酒よりも一番アルコール度数が高いと言われています。(ウイスキーやブランデーは蒸留してアルコール度数を高めているので、蒸留前は10%にも満たないほどです)

その他の醸造酒について

醸造酒と蒸留酒に触れたのであれば「その他の醸造酒」にも触れていきましょう。 まず定義をお伝えします。

穀類、糖類その他の物品を原料として発酵させた酒類でアルコール分が20度未満のもの(エキス分が2度以上のものに限る。)をいう。

定義は覚える必要はありませんが、日本酒に関わる部分だけでもご紹介します。

 

大きく取り上げるべきは2つで、1つ目はどぶろくです。その他の醸造酒に分類されます。2つ目はにごり酒です。これは清酒、もしくはその他の醸造酒に分類されます。

 

にごり酒が場合によって異なる理由は、酒税法上の定義がポイントになるからです。清酒の場合は「漉している」ことが条件なので、米粒などがお酒に含まれると名乗ることができません。どぶろくは米粒がそのまま入っていることも多く、漉していないのでその他の醸造酒に分類されます。

 

どぶろくについて詳しく知りたい方は、

「どぶろく・にごり酒」は何が違う? - 美味しい日本酒の研究所 by saketaku

の記事もよんでみてくださいね。

 

にごり酒も少し深ぼると、にごり成分の多さで名称が変わることがあります。にごりの成分が少なければ「うすにごり」や「かすみ酒」など。多ければ「にごり酒」など。また、加熱して殺菌していないものは酵母の影響を受けて発酵を続けています。そういったものにはお酒が生きているかのようにプチプチとした炭酸を感じることもできます。「瓶内二次発酵」などと呼ばれることもあるんです。

まとめ

長くなりましたが、おさらいします。

  • 蒸留酒はその名のとおり醸造酒を蒸留したもの
  • 日本酒は醸造酒に分類される
  • 原料にブドウ糖を含むものは、酵母の力のみでアルコールが生み出せる単発酵
  • 原料にブドウ糖を含まないものは、酵素の力でデンプンをブドウ糖に変えてから、酵母の力でアルコールを生み出す複発酵
  • さらに、「糖化」「アルコール発酵」を順番に行うのが単行複発酵
  • 「糖化」「アルコール発酵」を並行して行うのが並行複醗酵

他には、混成酒(梅酒・リキュールなど)があり、こちらは醸造酒や蒸留酒に香料や糖を加えてつくるお酒のことを指します。

醸造酒の発酵と種類について、いかがでしたでしょうか。同じアルコールでも発酵法で違いがあり、それぞれに特徴があります。

こうやって見てみると、お酒造りって本当に色々ありますね。。日本酒以外のお酒について知るのも、楽しくていいですね。

ではまた、お会いしましょう〜♪

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