2023/9/4更新
- 日本酒の味が変化する要因〜温度と酸化に注意!
- 開封後が美味しくなる!?日本酒に賞味期限はありません!
- 押入れの奥に入っていた日本酒は飲めるの?開封前の保存方法
- saketakuでは開封後1ヶ月間利き酒を行い、納得できたお酒だけを頒布しています!
日本酒の味が変化する要因〜温度と酸化に注意!
皆さんは、栓を開けてからおよそ何日でお酒を飲み切りますか? 空けてからどんどん日本酒の味わいが変化していきます。 まずは味が変化する要因をご紹介していきましょう!
茶瓶ならセーフ?大敵「紫外線」
皆さんご存知だと思いますが・・・。紫外線の影響の受けやすさは「日本酒の瓶の色」が関係しています。茶瓶が最も透過しづらいと言われていて、透明瓶や青瓶は簡単に紫外線を通り抜けてしまうので注意が必要です。
太陽の紫外線が届く波長
紫外線は3種類の波長があり、315〜400nmのUV-Aが地球に届きやすくなっています。
環境省:「太陽紫外線に関する基礎情報」(https://goo.gl/PUJSCy )を加工して作成
Dのモスグリーンの瓶は20%程度透過されてしまいます。茶瓶が今までずっと使われてきた理由が一目瞭然ですね!
意外に知らない「蛍光灯」の怖さ
「これは知らなかった!」という方が多いのではないでしょうか?
家庭用の蛍光灯ほとんどに着色が認められ、美術博物館用の蛍光灯であれば着色しづらくなりますが、高価なんです。
着色することでメラノイジンが増え、官能検査で「着色した日本酒の味が落ちている」ことがわかっています。
防止するには、「紫外線カットフィルム」や「カラーフィルム」を用いることで対策できるそうですよ!
一番気にする「空気による酸化」
空気に触れることで酸化してしまいます。 日本酒が空気に触れて酸化を起こすと、味わいに丸みが出てきます。
たとえばフレッシュさが売りのしぼりたて生酒などは、プチプチやピリピリといった舌ざわりの微発泡のものが多いですが、開栓後しばらくするとこの発泡感が少なくなり、柔らかい舌ざわりへと変化していきます。 また、火入れしたばかりのお酒は、次第に酸味や角がおだやかになり、相対的にコクが増します。旨味成分も増えるのでどっしりとしたお酒からマイルドだけど飲みごたえのあるお酒に変化します。
この味わいの変化を顕著に楽しめるのは、開けてから7日間くらい。 2週間空けたままにしておくと、味わいのバランスが崩れていく傾向を感じます。
ただし、酸がしっかりと感じられるお酒、生酛系の日本酒は空けてから丸くなるまで数ヶ月を要することもあります。 飲んでいるお酒と向き合いながら美味しいポイントを探っていくのも面白いですね!
・空けたまま時間が経ってしまって味が落ちていないか不安なお酒がある
という方はスタッフまでお気軽にお問い合わせくださいね!
搾りたてだとアルコールの分子が落ち着いていないため荒いのですが、熟成だと分子が落ち着くため柔らかさが出てきます。
冷蔵庫?冷暗所?不安な「温度変化」
日本酒の熟成が最も進みやすい外部要因は温度です。30度を超す温度には置かないようにしましょう! 高くても20度以下、温度変化を少なくすることが大切です!
開封後が美味しくなる!?日本酒に賞味期限はありません!
賞味期限ではなく「製造年月」が記載されています
日本酒には製造年月の記載はありますが、賞味期限の記載がないことはご存知でしょうか。実は日本酒には製造年月の記載が義務付けられていますが、賞味期限は記載しなくても良いとされています。ちなみに製造年月とは、その日本酒が搾られた年月日を指しているのではなく、その日本酒が瓶に詰められた年月日を表しています。別の記事では賞味期限について、醸造年度について簡単にご紹介していますのでごらんください!
日本酒の賞味期限は基本的にありません。これはアルコールに殺菌効果があり、雑菌がほとんど活動できないため、良質なお酒であれば品質に大きな変化はみられないためです。
ただし、こちらは未開封のまま冷暗所でしっかり保管(熟成)した場合に限ります。保存状態が悪いと、火落ち菌により白濁して香りを損ねてしまう場合があります。詳しくは「酒蔵を廃業に追い込む火落ち菌」をご覧くださいね!
しぼりたて生酒は開封後1ヶ月がベスト!
「生酒だから早く飲まなきゃ!」という方も多いと思います。 「劣化してしまうから」と思う方も多いのではないでしょうか?
生酒では火入れによる酵素の失活が行われないため、酵素的酸化を起こします。 初めは刺激的でピリピリしていますが、徐々に落ち着きを見せ、丸みのある滑らかさを持つようになります。 生酒をあえて蔵で数年寝かせてから出荷する蔵もたくさんあります。
蔵も生酒を寝かせておくことが美味しいとわかっていることなのですね!
酸度が低いものなど、種類によっては難しい場合もありますので途中で確かめながら試してみてくださいね!
開封後3ヶ月や、開封後2年経過していたらどうする?
開封後の経過時間にこだわらず、味が変化しやすい日本酒は「フレッシュタイプ、フルーティータイプ」です。また、温度によって味わいが変化しやすいため、今回は冷蔵庫で保存したと仮定して解説します。味の変わり方は日本酒によって大きく異なるため、明言を控えます。ご了承ください!
冷蔵庫での保管ができず、常温で保管していた場合は、より味の変化が激しくなっていると想像すると良いでしょう。夏場の方が温度が高いため、より味は変わりやすいです。
- 開封後3ヶ月
味わいは変わるものの大きな変化はなく、味わいが多少柔らかくなったと解釈するのが良いでしょう。一方で、酸味や苦味などの「キレ」を感じやすいパターンもあります。 - 開封後2年
熟成が進み、香ばしい味に近づいたはずです。カラメルのような、ベッコウ飴のようなまろやかな味わいが存在しているでしょう。香ばしさがより強くなった日本酒は、冷酒ではなく常温に近づいた方が良さを発揮しやすいです!
一人じゃ飲みきれない・・・保存グッズをご紹介!
一度開けてしまったら、その瞬間から酸化が進み始め味の劣化へとつながります。
100円ショップの空き瓶でも充分に保存できます!スタッフ厳選の容器については後日追記します!
飲み切れないお酒は、しっかりと「煮沸消毒」をした瓶に移し、なるべくフタぎりぎりまでお酒を入れ真空状態で冷蔵庫へ入れるのがベストといわれます。もともとの瓶のまま保存する場合は、できればワインセーバー(空気抜き)を使用し、瓶内を真空状態にするようにしてください。
早めに飲みきってしまいたいか、ゆったりと味わいたいかによって保存への意識を変えたほうが良いと思います。 常に美味しい状態で日本酒を飲めるように楽しみましょう!
押入れの奥に入っていた日本酒は飲めるの?開封前の保存方法
味の変化を防止する方法
- チルド室で保管する
低温で貯蔵すればするほど熟成はゆったりと進みます。日本酒はアルコールが入っているので0度で保存しても凍ることがありません。
生酒など味の変化が起きやすい日本酒は、味が変化することを望まない限り極力低い温度で保管しましょう。
冷蔵庫内はチルド室が約0度なので今すぐに飲まない日本酒を保存するには適しています。
- 冷蔵庫が難しければ押し入れなどの冷暗所に入れる
日本酒にとって良くないことは、上述の通り温度変化や紫外線です。
温度変化を少なくするためには、お酒をダンボールなどに入れて保管することが大切。
仕切りがあるだけで外気の影響を受けづらくなり、温度変化を一定に保ちやすくなります。
熟成が進むとどのような変化が起こるのか
- 甘くてとろん、カラメル系の香ばしい香り
新酒の段階では果実の香りも含んでいても、保管期間が長くなるごとにその香りは感じづらくなっていきます。
シロップのような甘い香りやカラメル、凝縮してくると醤油のような香りを感じることもあります。
この理由は熟成する際の「メイラード反応」に関わっています。
例えばすき焼きを行うとき、「肉に含まれるうま味」と「砂糖」が反応することで、すき焼き地が次第に色濃くなり旨味が強くなっていきます。
これと同様の反応がお酒にも起きているのです。
- ぎゅーっと旨味が詰まった味わい
熟成酒にも3年モノや20年モノがあり、熟成年数や保管温度によって色や香り・味わいが大きく変わります。
色の付き方はお酒に含まれる「糖分」と「アミノ酸」の量が多いほどメイラード反応が進みやすいので、甘くて濃醇なお酒は色が付きやすい傾向にあります。
また、熟成年数が長く、保管温度が高いほど熟成スピードが速くなります。
一方で氷温貯蔵で10年熟成では色のつき方が茶色でも違和感は無いのですが、オレンジ色に近づいているはずです。
熟成が進むほどアミノ酸度が増し、苦味が多くなります。
アミノ酸は「甘味・旨味・苦味」を呈し、熟成して色がつくと香りだけでなく苦味も感じやすくなります。
そのため、濃醇ではっきりとした味わいに感じることが出来るでしょう。
熟成酒について気になる方は「濃厚な熟成酒が好きなあなたへ」をごらんください!
saketakuでは開封後1ヶ月間利き酒を行い、納得できたお酒だけを頒布しています!
「希少で美味しい」日本酒を頒布しているsaketakuに入ってくださっている皆さんは、日本酒好きな方はもちろん、日本酒を好きになり始めた方からもご好評頂いています。
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しかし楽しんでいただくのは皆さん次第。
- 純粋に美味しい日本酒を飲みたい
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など様々な方が利用してくださっています。少しでも多くの方の期待に応えるため、saketakuでお届けする日本酒の選定基準や鑑定書の使い方についても詳細にご紹介しています。
飲むペースも人それぞれ。1本を2週間以上かけて飲む方もたくさんいらっしゃいます。 お届けした日本酒が最高のパフォーマンスを発揮せずに飲まれてしまうのは、日本酒が大好きな私たちからすると、少しさみしかったりもします。
そのため、日本酒を選定する段階で開栓後1ヶ月間、利き酒を行い味わいの状態をチェックしています。
ここで明らかな劣化が見られた日本酒は、みなさんの元へお届けすることはありません。
私たちが知らない、まだスポットライトが当たっていない小さい蔵にも美味しい日本酒はたくさんあります。
そんな蔵の存在と美味しい日本酒を知っていただくためにsaketakuは日々走り続けています。
生酒を詳しく知りたい方はこちらが便利!
【前編】日本酒の生酒と火入れの判別方法を伝授【日本酒スクールのプロコース最年少卒業】
【後編】日本酒の生酒と火入れの判別方法を伝授【日本酒テイスティング方法の伝授】