「大吟醸美味しいよね。」そんなあなた、損してます。

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「大吟醸飲んでおけば間違いないよね?」

この言葉、よく聞きます。確かに美味しいですよね。

でもよく考えてみてください、なんで大吟醸は美味しいのでしょうか。

今回はそんな「大吟醸」について迫っていきたいと思います。

 

お米を50%も削り贅沢に造っていて価格も高い。

「美味しいに決まってる。」

人間の頭は単純で、いちど思い込んでしまうとその感情を正当化しやすい傾向にあります。

そのため比較的高い値段で販売されることが多い大吟醸は「高いから美味しい」と感じてしまうのです。

今回は「大吟醸=美味しい」という固定観念を崩します。

「そんなわけないだろ」と思った方こそ読み続けてみてください。

この記事を読み終わったあなたが、 「純米酒・本醸造酒も美味しいんだ、飲みたい!!」と感じることを期待します。

<読む前に押さえておきたいポイント>

吟醸の意味=「吟味して醸造し、よくお米を削り、低温で発酵させ、吟醸香(特有の芳香)を有するように醸造すること」

 

「大吟醸酒」の美味しさは2つの「イメージ」の塊である

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鑑評会出品酒に1回だけ火入れを行ったとても貴重な大吟醸酒

大吟醸酒を飲んだ時に誰もが感じる

「美味しい」

を噛み砕いていくと、

・飲みやすい ・フルーティー

この2言に尽きます。

なぜこのように感じるのか。

大吟醸酒の美味しさを日本酒の”製造方法”という観点から分解してお伝えしていきましょう。

1. お米を贅沢に使用しているため「飲みやすい」

普段私たちが食べている米(飯米:はんまい)は玄米の外側を8%ほど精米しています。 しかしお酒造りに用いるお米(酒米:さかまい)は大吟醸酒で50%以上精米しています。 これだけ削るのは「お米の外側に余分なもの」が多いからです。 余分なものとはタンパク質や脂質・灰分(ミネラル)・ビタミンで、多ければ苦味が増す可能性があります。 大吟醸酒に限らず、日本酒を造る際に必要なのは「デンプン」です。デンプンは米の中心に心白として存在します。

2. 酵母をいじめると「フルーティー」になる

酵母は数え切れないほどの種類がありますが、大吟醸に用いられる酵母は香りを出してくれる性質を持っています。しかしその分繊細です。酵母が良く生きられる温度は約30度に対し、実際の現場では10度です。過酷な状況に置かれたストレス発散が「香り」として現れ、人は感じることができます。

「大吟醸酒」って普段使いできないじゃん

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大吟醸酒の仕込みでは、丁寧に人の手をかけて造っていきます。

私たちが普段食べる食事は、

料亭で頂くもの

というより家庭のお母さんの味が多いはずです。

お母さんが作ってくれる料理はどこか懐かしく感じますよね。 その料理は一から出汁をとっているものばかりでしょうか。 そうではないはずです。

ご飯のお供ならしっかりとした味。

そういったお料理と大吟醸酒は合いづらいのです。。その理由を少しお話します。

1. フルーティーなお酒が多い

果実の香りが強いお酒とは、食事の香りや旨味の強さなどの理由から相性が良いとは言えません。 「デミグラスソースのハンバーグ×フルーティな大吟醸」に「合いそう!」とは考えないでしょう。

2. 味わいが繊細

大吟醸は上品な甘味がメインに酸味や苦味が優しい印象を持ちます。「繊細な味の大吟醸酒×キムチ鍋」ではお酒と食事のバランスに違和感を感じるはずです。

3. 冷酒向きが多い

精米歩合が低いので味が比較的キレイです。そうすると常温以上になった時に米の甘味や旨味が主張してくるばかり。もちろん大吟醸の中でもうま味が強いものもありますが、料理と合わせたときに整いづらくなってしまいます。

「冷蔵庫から出したばかりの大吟醸酒×イカの塩辛では?」なんとなくわかってきましたよね?

4. 何より高い

日本酒の原料の中でもっともコストがかかるのがやはり「米」ですね。

全体の70%以上を占めると言われています。

理由は単純です。精米歩合が低いということは、70%精米の米100gと40%精米の米100gを集めるのに、40%精米の方が米粒を多く集めないといけないですよね。

お酒は嗜好品。どうせなら安く・美味しく済ませたいものです。

この要因がもっとも大きいのではないでしょうか。

「1本1万円の大吟醸酒×お弁当用の冷凍食品」は中々難しいような気がしています。

純米酒の方が「美味しい」と思えるたくさんの要素

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地元の方がよく飲む、新潟 宝山酒造の純米酒

1. 乳製品や熟成感などの「落ち着いた香り」が主体になる

フルーティーな吟醸香から解き放たれたあなたは、 乳製品やカラメルなどの落ち着いた香りを感じ取ることができるようになります。

その穏やかな香りは精米歩合や熟成期間など様々な要因が重なって関係しています。

2. 旨味や苦味の多さ

大吟醸酒に比べ精米歩合が高いため、 タンパク質が多く旨味や苦味などを豊かに感じます。 その味わいは「濃くてすっきり」のような印象を受けるのではないでしょうか。

3. 温度帯で違う楽しみ方がある

純米酒や本醸造酒などは常温やぬる燗・熱燗など幅広い温度で楽しめることが多いです。例えば甘味は約35度で最も感じやすくなるため、適切な温度で飲んだ時の味わいの変化に驚きを隠せません。

4. 幅広い料理に合わせやすい

味がやや濃醇に感じられることが多いため、お料理も濃醇なものと相性が良いです。 家で頂く前菜からメインディッシュまで、 どれもご飯のお供であることが多いですよね。

5. 常温保管も問題なし

生酒でない限り、常温に積極的においた方が良いお酒もたくさんあります。 空けたてはフレッシュ感とともにキレのあったお酒が徐々に角が取れてまとまりがでてくるのです。 冷蔵庫に入れなくて良いのでおウチの人から怒られなくてすみますね。

6. 普段の家飲みに最適

1本1000円程度で買えて、 パフォーマンスの高いお酒もたくさんあります。 値段も安いため家計へのダメージも少なく飲み続けることができますね。

7. SAKE COMPETITIONの純米部門も開催

年に1回、市販酒の中で美味しい日本酒の選択基準を作るため、 詳しい人たちが集まって行う品評会で、 大吟醸酒に加えて純米酒も同様に行っています。 純米酒はもっとみなさんの近くに寄り添うべきではないでしょうか。 美味しいとわかる印があれば気になってしまいますよね。

8. 全国熱燗コンテストもある

こちらも同様、熱燗の美味しさを審査員の方が評価しています。 冷酒だけでなく熱燗に焦点が置かれるようになってきているのですね。 こちらも同様、受賞酒にそれとわかる首かけが施されるため、 熱燗慣れしていない方でも安心して買うことができます。 これらは純米酒や本醸造酒であることが多いですよ。

純米酒の悪いところは??

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約2日間かけて出来た麹は熱気と水分を含んでいるため、使用するまで乾かします。

もちろん、メリットがあればデメリットもあります。純米酒の考えうるデメリットもあげてみます。

1. 贈り物にするには値段が足りない

贈り物には良いものを!値段で決めてしまう方が多いと思いますが純米酒はお手頃な価格帯が多いため送りづらいですね・・・。

2. 繊細な料理とは合わせずらい

素材由来の味に支配された優しい食事と純米酒の相性はなんとも言い難いものがあります。ただし、繊細な純米酒を製造することも可能ですので確実とは言えません。

saketakuでお届けした純米酒の数々(リンクからお酒の詳細も見れます!)

たくさんありますが少しだけご紹介させてください!

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柔らかい甘味と飲みやすさが特徴の「新潟 宝山 純米酒」

・ 女鳥羽の泉 純米吟醸酒

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長野県松本市の城下町が「平成の名水百選」に認定されています。市内に蔵がある善哉酒造の純米吟醸酒。

・ るみ子の酒

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9号酵母の純米酒。森喜さんの定番酒です。

・ 太白山 純米にごり

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宮城県の中勇酒造さんのにごり酒。甘味が強すぎずバランスの良い仕上がりです。

まとめ

純米酒も大吟醸酒もどちらも美味しいです。 ただ、普段から飲むなら味わいが洗練されている大吟醸酒よりも、 家庭の味に合いやすい純米酒・本醸造酒に自然と手が伸びればさらに経済的です。

簡単に純米酒の良さをまとめます。

・ 味がやや濃醇なので家庭料理との相性が良いと言いやすい

・ 必ず冷蔵庫で保管する必要もない

・ 幅広い温度で楽しむことができる

次回は2日酔いしやすいと思われている「本醸造酒」について、その美味しさを徹底分解します!

アルコール添加してあるお酒を飲まないという人こそ読んで頂きたい。そんな内容です。

お楽しみに!

「楽しい日本酒講座・全12回」の目次

あなたの常識をぶった切る、日本酒の本当のはなし。

  1. 日本酒の原料について徹底解説
  2. 脱「新潟の美味しい辛口のお酒ください」のススメ
  3. 「日本酒なら大吟醸!おいしいよね。」そんなあなた、損してます。(←イマココ) 
  4. 安くて美味しい本醸造、教えます。

    「美味しい」と感じる、日本酒の味を分解してみよう。

  5. フルーティな日本酒を徹底解説
  6. 軽快な日本酒を徹底解説
  7. 米の旨味がはっきりしている日本酒を徹底解説
  8. 濃厚で熟成した日本酒の徹底解説

    ようこそ、日本酒のディープな世界へ!初心者卒業までの最後の一歩。

  9. 日本酒のマリアージュの世界へようこそ!
  10. 「山田錦」の味わいや特徴について徹底解説!
  11. 新潟「淡麗辛口」の日本酒とは。知ると日本酒がたのしくなる!
  12. 日本酒歴長い人も実は分かってない。酵母や麹の本当のはなし。
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